基本的な考え方
当社グループは、従業員の安全と健康の確保は企業活動の基盤であると考え、構内協力事業場も含め、継続して対策に取り組んでいます。
マネジメント体制
当社では、担当役員、各事業所のトップおよび労働組合代表者で構成する「中央生産委員会」を年1回開催し、労働安全、交通安全、自然災害への備え、健康管理などの課題の活動状況を評価のうえ、翌年の安全衛生に関する数値目標を設定し、重点施策を定めて目標達成に取り組んでいます。
また、労働災害などが発生した場合は、都度、代表執行役社長をはじめ幹部へ状況を報告し、再発防止に向けた現状把握および対策などの指示を受け対応しています。
当社では労働安全衛生を含むマテリアリティに関して、サステナビリティ委員会で各取り組み責任者が長期視点で洗い出しを行ったリスクと機会を確認するとともに、取り組み目標を審議・決定し、その進捗を確認することによりPDCAを回しています。さらに、サステナビリティ全般の活動状況は、取締役会で審議・報告する体制としています。
安全な職場づくりの取り組み
当社では、すべての従業員が安心して仕事に専念できるよう、安心で安全な職場の実現に向け活動を進めています。特に、労働災害の発生場所として多くを占める生産現場では、災害を未然に防止するため、従業員のあらゆる活動で不安全な状態が発生していないか否かを洗い出し、改善につなげています。また、事業所幹部や職場の管理監督者による安全点検を行い、危険要因を洗い出すとともに、従業員一人ひとりの改善要望を取り入れるなど、安心して働ける職場づくりに取り組んでいます。
各事業所では危険な状況を実感する「安全道場」を、また一部の事業所では危険予知能力の向上を目的とした「危険予知道場」を開設し、2024年度は796人が受講しました。さらに日常に潜む危険に対する感度を高めることを目的に社外の体感訓練を実施し、67人が受講しました。
これらのほかにも、労働安全衛生法改正にともない化学物質管理者に対するガイドライン説明会や安全資格教育を実施し、延べ11,979人の従業員が参加しました。
当社の2024年度の災害度数率は0.16であり、国内自動車産業平均度数率0.41、当社目標値0.26のいずれも下回る結果となりました。これは2023年度から全社統一で実施している指差呼称など安全基本行動の再徹底の成果が表れてきているものと捉えています。しかしながら、2024年度も災害が6件発生し撲滅には至っておらず、さらなる安全意識の醸成を図るべくさまざまな取り組みを行っています。
また、生産現場において作業者の安全を確保するため、設備の新設および改造時は、労働安全衛生法に基づいたリスクアセスメント手順に沿って、労働災害の未然防止を図っています。リスクの発見、分析、評価の観点を網羅したプロセスを通じて、洗い出したリスクに対し適切な対策を実施しています。
安全関連法令の遵守評価においては、当社グループではチェックリストを用いて各職場の従業員による自主点検と他職場の従業員による相互確認を行っています。2020年度はテクニカルセンターやパーツセンター、2021年度は国内関係会社に範囲を広げ、2024年度には関係会社全拠点の現物確認を完了させるなど、法令遵守の徹底を図っています。また、海外工場では、ミツビシ・モーターズ(タイランド)・カンパニー・リミテッド(MMTh)、ミツビシ・モーターズ・クラマ・ユダ・インドネシア(MMKI)ミツビシ・モーターズ・フィリピンズ・コーポレーション(MMPC)の遵守評価を実施しました。
健康経営の推進
当社では、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが、企業価値向上と持続的成長の実現に向けた原動力であると考えています。当社は、従業員の健康の保持・増進を重要な経営課題の一つと位置付け、以下の「健康宣言」のもと、国内拠点において全社一丸となり健康経営を推進しています。2025年3月、経済産業省と日本健康会議が主催する健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門において、前年度に引き続き、「健康経営優良法人2025」の認定を受けました。
当社では健康経営を推進するにあたり、健康経営により解決したい経営課題を特定し、健康経営の戦略・ストーリーを明確にするべく、健康経営戦略マップを作成しています。健康経営戦略MAPでは、健康経営における施策の3本柱に、「こころの健康づくり」「職場の活性化」「生活習慣病予防」を掲げています。また、各種健康施策の有効性を評価するべく、健康指標をKPIとして設定のうえ、具体的な取り組みを実施し、施策の評価・改善を行っています。
さらに近年、メンタル疾患が当社の病欠の原因の約半数を占めている状況から、メンタルヘルス対策を全社の要課題と捉え、「心の健康プログラム」として、個人の悩み相談の受け付け、メンタルヘルス教育、職場環境改善のための支援プログラムなどに取り組んでいます。職場環境の改善への施策としては、アサーティブなコミュニケーション、レジリエンスなど職場のコミュニケーション向上を目的とした研修、職場環境改善プログラムなどを実施しています。しかしながら、2024年度のメンタル疾患による新規病欠者数は前年度比13%増となり、依然としてその原因の約8割が仕事であることから、2025年度も引き続き職場でのラインケア、職場環境改善に取り組んでいきます。また、セルフケアのための施策として、社外カウンセラーによる窓口を設置し、悩みを相談しやすい環境づくりに努めるとともに、例年実施しているストレスチェックの結果から高ストレスがかかっていると推定される従業員に対しては、産業医やカウンセラーによる面談を実施しています。加えて、業務に慣れておらず、相談もしづらい入社間もない社員を対象に「全員カウンセリング」を実施し、メンタル疾患発症の未然防止に努めています。
また、生活習慣病予防対策として、将来の健康リスク低減を目的に、40歳未満かつBMI25以上の従業員を対象に食事や運動に関する個別支援を導入し、BMI改善プログラムを展開しています。このほか、2024年度より、健康コラムや社内で実施したオンライン健康セミナーの動画をスマホアプリで配信する取り組みも開始し、従業員の健康リテラシーの向上を図っています。
三菱自動車の健康宣言
社員が、充実した会社生活と幸せな人生を送ること。その土台となるものは、すべての社員とその家族の心身の健康と、笑顔があふれいきいきと働ける環境づくりです。三菱自動車は、社員一人ひとりの健康増進に、積極的に取り組むことを宣言します。
健康経営戦略MAP
海外赴任時の安全対策
当社では、海外派遣社員と帯同家族が海外でも健康に、かつ安心して業務を行うことができるよう健康管理の仕組みと体制を構築しています。グローバルな健康課題である麻疹、風疹、ウイルス性肝炎など、ワクチン接種により防ぐことができる感染症については、会社の費用で予防接種を実施したうえでの渡航を推奨しています。
労使関係
当社は、世界人権宣言やILO中核的労働基準およびOECD多国籍企業行動指針を支持し、加えて事業拠点が存在する当該国の労働法規を遵守することで、従業員に対して労働基本権を保障しています。
また、労使協約において、組合が労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を保有することを認めています。
労働組合への加入率(三菱自動車、役員・管理職を除く)
| 2023年4月 | 2024年4月 |
|---|---|
| 100% | 100% |
労使の対話状況
労使の対話の場として、「労使協議会」を定期的に開催し、労働条件や労働環境などの課題について情報共有を図り、労使が一体となって解決にあたっています。
とりわけ年3回開催する「中央経営協議会」においては、経営環境や、短期および中長期の会社方針・方向性の共有のほか、労使協働による各種施策の活性化、人材活用などについて闊達な議論を行っています。これらを含め、日本国内では、本社・労働組合本部間での協議のほか、各地区においても事業所・労働組合支部間で多数の協議を実施しています。
また、大きな労働条件の改定などの重要なテーマについては「労使専門委員会」を組織し、十分な検討・協議を経て決定しています。
なお、海外拠点においても各国の労働法制に則り、労働組合と良好な労使関係の構築に努めており、各拠点において労働者への重大な権利侵害や労働争議は2024年度末現在発生していません。また、非人道的な労働状況や長時間労働を発生させないために、労使協議を重ねるとともに、労働時間の管理を徹底しています。
本社・労働組合本部間での協議回数(日本)
| 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|
| 計62回 | 計57回 |