人権の尊重

ガバナンス

基本的な考え方

当社グループは、人権の尊重が事業活動の基本であるとの考えのもと、「国際人権章典」「ビジネスと人権に関する指導原則」「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」「OECD責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」などの国際的な規範や基準を支持・尊重しております。
当社はステークホルダーの人権を尊重した事業活動を行うことを目的として、「人権方針」を専門家との協議および経営会議の承認を経て制定しております。同方針では、人権に関する国際的な規範や基準を支持・尊重することを原則としつつ、遵守すべきことなどの事項、人権に与える負の影響の防止・低減と救済措置、役員・従業員教育の実施などの具体的な取り組みについて定めております。同方針は英語に翻訳し、国内外のすべてのステークホルダーがウェブサイトにて閲覧できるようにしております。
当社グループのグローバル行動規範における第8条「人権と多様性の尊重、機会平等」では、人権を尊重するとともに、取引先、お客様、役員・従業員、地域社会の多様性を尊重し、差別や報復、いやがらせは、どのような形・程度にせよ容認しないことを定めております。
また、環境・人権リスクに関する国内外の法令や要求事項を踏まえ、「人権方針」や「サプライヤーCSRガイドライン」など既存の規範について、外部有識者を交えて改定の検討を進めております。2026年3月には、環境・人権に関するデュー・ディリジェンスの定義、対象およびプロセス等を定めた「サステナビリティ・デュー・ディリジェンス・ポリシー」を策定し、開示しております。

業務・投資における人権配慮

当社グループは、事業を持続的に成長させていくためには従業員や地域の皆様と相互理解に基づき良好な関係を構築することが不可欠であると考えます。事業所や関連施設を開設する際は、国や地域の慣習、宗教を含む文化的価値観などに配慮しております。

販売会社における人権配慮

販売会社では、従業員の安全や健康に配慮した職場環境の整備に取り組むとともに、人権侵害の行為を禁止しております。

マネジメント体制

当社は、人事部門、購買部門、管理部門などが中心となり、外部専門家のアドバイスも得ながら人権尊重の活動に取り組んでおります。また、2024年に執行役社長を委員長とする「人権委員会」を設置しました。同委員会は、年に3回を目途に開催し、人権に特化した主要事項に関して協議しており、重要事項に関しては取締役会へ報告し審議する体制としております。取締役会へ報告され審議された内容については、人権委員会委員から担当部門へ共有し、社内外における人権尊重の取り組みの改善につなげております。
加えて、ビジネスと人権におけるリスクは潜在的な影響が大きく、かつ緊急性の高い優先リスクの一つとして位置付け、内部統制委員会が管理する全社リスクに統合し、適切に管理しております。

情報開示

各国・地域における人権デュー・ディリジェンスの報告義務や、サステナビリティ情報開示に関する国際基準に適切に対応するべく、防止・軽減措置の開示を含む情報開示の強化を検討し透明性を確保していきます。

戦略

当社グループは人権の尊重を各マテリアリティに落とし込んで全社的な取り組みとして推進しており、執行役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会および人権委員会にて各マテリアリティのKPIや進捗をモニタリングしております。
具体的には、「事業を通じた地域経済への貢献」「多様な人材が能力を発揮し、誇りとやりがいをもって働ける環境の構築」「持続可能なサプライチェーンの実現」などのマテリアリティで設定した中長期的な目標やKPIを通じて、従業員や取引先とともに人権リスクに対する感度を高め、実践的な対応を強化しております。これにより、企業活動の全体にわたる人権尊重の意識が浸透し、社会的責任を果たす基盤となっております。

リスクと機会

各国において、企業に対して人権の取り組みを求める法規の制定が進んでおり、サプライチェーン上の人権リスク対応の必要性が急速に高まっています。当社は、これら法規に対して適時・適切な対応や情報開示ができない場合は、法令違反のみならず、社会的信用の低下によりブランドイメージが毀損し、生産、開発、購買、営業などの事業活動にも影響を及ぼす可能性があると認識しております。
加えてヨーロッパを中心にバッテリーの製造過程におけるデュー・ディリジェンスを法制化する動きが進行していることも考慮し、当社グループはグループの事業およびステークホルダーにとって優先的に対処すべき重要リスクをビジネスと人権に関する指導原則などの国際規範を元に評価基準を定め、特定しております。自動車産業においてもより広範で複雑な事項への取り組みが求められるようになっております。

重要リスク

  • 1.
    強制的な労働:処罰の脅威によって強制される労働や、自由意思で働く権利の侵害リスク。
  • 2.
    紛争鉱物(錫、タンタル、タングステン、金)およびコバルト、マイカ(責任ある鉱物調達):紛争鉱物や責任ある鉱物調達に関連する児童労働や強制労働のリスク。
  • 3.
    労働安全衛生(安全):劣悪な作業環境や危険な作業による負傷および疾病のリスク。
  • 4.
    消費者の安全と知る権利:消費者の心身の健康を害する製品・サービスの提供や不当表示のリスク。
  • 5.
    救済へアクセスする権利:効果的な救済を受けるための適切なプロセスへのアクセスが確保されないリスク。
  • 6.
    ハラスメント:パワーハラスメントやセクシャルハラスメントによる就業環境の悪化リスク。
  • 7.
    環境・気候変動に関する人権問題:企業活動による環境破壊や地域住民の権利侵害リスク。
  • 8.
    児童労働:法律で定められた就業最低年齢を下回る児童による労働のリスク。
  • 9.
    先住民族・地域住民の権利:企業活動による先住民族や地域住民の人権侵害リスク。

リスク管理

環境・人権デュー・ディリジェンス・プロセス

【図解】国際的基準に基づく持続可能な企業活動

当社グループは、デュー・ディリジェンスの仕組みを通じて事業活動が環境や人権に与える負の影響を特定し、その防止または軽減を図るよう取り組んでおります。また、デュー・ディリジェンスの仕組みづくりを外部有識者も加え進めつつ、一部の取引先でデュー・ディリジェンスを開始しております。

バリューチェーン上の重要リスクの特定・評価

当社は、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを通じて、事業活動が人権に与える負の影響を特定し、その防止および軽減に取り組んでおります。

  • バリューチェーン上の特に重要な人権リスクについて、外部専門家の協力を得ながら特定・評価を実施するとともに、防止・軽減策の検討を推進しております。
  • 人権リスクの特定および評価にあたっては、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが公表するガイドラインを用いてリスクマップを作成し、リスクカテゴリーごとに深刻性および発生可能性を評価したうえで、優先順位付けを実施しております。
  • 自動車産業特有の複雑かつ広範なサプライチェーンを踏まえ、直接取引先に加えて、原材料調達や部品生産などの上流工程も含めたリスクの特定に努めております。
  • 評価にあたっては第三者専門家の意見を取り入れ、その妥当性を確認するとともに、評価結果に基づき優先度の高いリスクを特定し、人権委員会への報告を経て、当社が優先的に取り組むべき重要課題として位置付けております。

また、以下の取り組みを通じて、持続可能なサプライチェーンの構築と人権尊重の強化に努めております。

  • 今後も継続的にリスクの見直しを行い、改善に取り組んでいきます。
  • 優先順位付けされた各リスクについては、是正・予防措置の検討を進めております。

当社が認定した主な人権リスク

  • 強制労働:処罰の脅威等による強制や、自由意思による就労の侵害リスク
  • 紛争鉱物・責任ある鉱物調達(タンタル、錫、タングステン、金、コバルト、マイカ):児童労働や強制労働に関連するリスク
  • 労働安全衛生(安全):劣悪な作業環境や危険作業による負傷・疾病のリスク
  • 消費者の安全と知る権利:健康被害を生じる製品・サービスや不当表示のリスク
  • 救済へのアクセス:効果的な救済を受けるための適切なプロセスへのアクセスが確保されないリスク
  • ハラスメント:パワーハラスメントやセクシャルハラスメントによる就業環境悪化のリスク
  • 環境・気候変動に関する人権問題:環境破壊や地域住民の権利侵害のリスク
  • 児童労働:就業最低年齢を下回る労働に関するリスク
  • 先住民族・地域住民の権利:企業活動による権利侵害のリスク
    (各リスクに対する防止・軽減の取組みは別途記載)

また、当社グループの従業員は当社グループが持続的に成長し、企業価値の向上を実現していくための重要なステークホルダーです。従業員の尊厳、基本的な権利を損なうことは、人材戦略を阻害するだけでなく、エンゲージメントの低下を誘引します。さらに、グループの製品や品質にも重大な悪影響をもたらし、お客様に危険を及ぼすおそれがあることから、当社グループは、労働条件、健康と安全などの従業員の人権侵害が、事業活動およびステークホルダーにとってインパクトの大きなリスク要因であると認識しております。

サプライチェーンにおける人権リスクの管理

当社グループは、取引先に対する人権侵害を発生させないことなどを含めた適正取引を行っており、取引価格や納期を各取引先と十分協議のうえ決定しております。加えて、「サプライヤーCSRガイドライン」に基づくマネジメントにより、取引先との双方向のコミュニケーションを図っております。なお、同ガイドラインについては、外部有識者を加え、サプライチェーン上でのデュー・ディリジェンスを視野に入れた改定を検討しております。

また、当社は人権デュー・ディリジェンスの一環として、グローバルなサプライチェーン全体における人権リスクの特定・把握・評価および対応を推進してきました。自動車産業における多層的かつ複雑なサプライチェーン構造を踏まえ、直接取引先にとどまらず、原材料や精錬所に至る上流工程まで遡った包括的な管理の重要性を認識し、以下の取組みを実施しております。

  • 2024年度よりAIを活用した分析手法を導入し、各国人権法令への抵触リスクがあるサプライチェーンの特定や、紛争鉱物(タンタル・錫・タングステン・金)およびコバルト・マイカ等に関連するサプライヤーとのつながりの可能性について分析・調査を開始
  • AIの活用により網羅的かつ高度なリスク把握を行い、優先順位を付けながらサプライヤーと連携した対応を推進
  • 人権リスクの高さに加え、製品の輸出国、車種、部品の種類、使用原材料等の観点から優先順位を設定し、効率的かつ実効性のある調査を実施
  • 2025年度は主要サプライヤー836社を対象にAI分析を実施し、その結果に基づき241社へ書面調査を実施
  • 書面調査の結果を踏まえ、追加対応が必要なサプライヤーに対して個別ヒアリングを実施中
  • 2024年度の調査結果に基づき、継続モニタリングが必要と判断したサプライヤーに対して継続的なモニタリングを実施
  • 上記プロセスを通じて特定された人権リスクに対し、防止・軽減および是正措置の検討と実行を推進
  • EVバッテリーに使用される原材料鉱物についても、人権リスクの観点から予防および是正に向けた対応を実施

今後は、サプライチェーン上流における人権リスク管理のさらなる高度化を図るとともに、より実効性のある取組みへの発展を目指して、以下の施策を推進していきます。

  • 素材・原材料や精錬所などTier Nに該当するサプライヤーへの関与のあり方についての検討
  • 2026年度における国内のより網羅的なサプライチェーン調査の実施
  • 海外拠点を中心としたサプライチェーンに対する調査の検討および対応の推進

すべてのステークホルダーを対象とした是正・救済

当社は、事業活動が人権に与える負の影響に適切に対応するため、社内外のしかるべき手続きを通じて救済に取り組む体制を整備しております。人権への負の影響を自ら引き起こした場合のみならず、間接的に助長した場合や、取引関係を通じて当社の事業・製品・サービスが当該影響に直接関連していることが明らかになった場合においても、適切な対応と救済を行うことを基本方針としております。具体的には、従業員向けの窓口や社内相談窓口、お客様相談センター、取引先向け相談窓口など、多様なステークホルダーが利用可能な複数の相談・通報窓口を設置しております。
これらの窓口では秘密保持と利用者の匿名性を担保しており、通報や相談を行った者が不利益を受けることはありません。社内調査にとどまらず、取引先企業内での調査が必要と判断した場合は、取引先のコンプライアンス担当者と情報を共有・統制し、通報者探しや報復などの禁止行為を事前合意のうえで解決に向け連携対応します。また、人権侵害やその疑いがあった場合の対応・是正措置の内容は、適時、当社ウェブサイトで開示する予定です。

グリーバンスメカニズム

苦情処理窓口の周知活動

グリーバンスメカニズムの利用可能性向上に向け、当社では後述する一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)窓口の積極的な周知を行っております。社内各部門への説明会の実施に加え、一次管理元である取引先を通じて、その先の取引先への周知も依頼しております。2026年度においても、これらの取組みを継続することで、JaCER窓口の利用可能性の一層の向上を図っていきます。

是正措置

OECDガイダンスにおいて、是正措置とは人権への負の影響に対する救済、または負の影響を弱める・修復するような実質的な成果のことを指します。当社では2024年度から本格的に人権デュー・ディリジェンスを開始したため、今後具体的なプロセスを策定する予定です。
また今後是正措置を実施した場合、ほかの開示事項と同じように、本ウェブサイトに掲載することで、開示・発信致します。

レビュー(個別課題のフォローアップ/全体の振り返り)

人権への取組みは、継続的・反復的に行われるものであるため、個別の人権に関わる課題への取組み内容とその成果に対するフォローアップや、マネジメント体制の妥当性に対する振り返りはOECDガイダンスにおいて、非常に重要であるとされております。またこうしたレビューでは、ステークホルダーへのエンゲージメントや、国内および現地法規制の改正、国際水準やガイドラインの改定等の反映が必要不可欠です。
当社では2024年度から本格的に人権デュー・ディリジェンスを開始したため、開示・発信方法を含めて、具体的なプロセスの検討を今後行う予定です。
また今後レビューを実施した場合、ほかの開示事項と同じように本ウェブサイトに掲載することで、開示・発信致します。

情報開示・コミュニケーション

各国・地域におけるデュー・ディリジェンスの報告義務や、サステナビリティ報告に関する国際基準を考慮し、情報開示要請に適切に対応するべく、防止・軽減措置の開示を含む情報開示の強化を検討しております。当社ウェブサイトにおける適時開示を通して透明性を確保する予定です。

モニタリング

防止・軽減措置について、今後モニタリングを継続・拡大予定です。

苦情処理メカニズム一覧

当社が人権に与える負の影響を引き起こした、直接的または間接的に助長した、事業やサービスが取引関係を通じて人権への負の影響と直接関連したことが明らかになった場合、下記社内外のしかるべき手続きを通じて、その救済に取り組みます。

対話救済プラットフォーム

バリューチェーン上の全てのステークホルダーが通報可能なグリーバンスメカニズムの整備を目的として、2024年度に一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)へ加盟しました。JaCERは、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した非司法的な苦情処理プラットフォームである「対話救済プラットフォーム」を提供し、専門的な立場から会員企業の苦情処理の支援および推進を行う組織です。バリューチェーン上の全てのステークホルダーが通報出来、JaCERの支援により苦情処理メカニズムの正当性の担保と苦情処理の実効性・効率性の向上を図ることで、苦情処理メカニズムの正当性の確保と実効性の向上を図り、対話を通じた適切な救済に努めております。

三菱自動車グローバル内部通報窓口 /社内相談窓口(社員相談室)

社内で人権にかかわる問題が発生した場合に迅速に対応するため、社内外に相談窓口(ヘルプライン)及び多言語での対応が可能なグローバル内部通報窓口を設け、従業員から通報や相談を受け付ける体制を整えております。グローバル内部通報窓口では、当社及び主要関係会社の従業員からの通報に対応するために、専門会社が一次受付を行う窓口を14カ国に設置し、計13言語での受付を可能としております。

お取引先様相談窓口(日本)

当社調達部門の取引先を対象とした「お取引先様相談窓口」を設置しております。

お客様相談センター

お客様相談センターは、お客様からの声を直接承る窓口として全国のお客様からのお車の購入や取り扱いに関するお問い合わせ、ご意見・ご要望などあらゆるご相談に対応しております。お客様の期待を上回る親身な対応に努め、当社と末永くお付き合いいただくことをめざしております。
同センターでは、人権に関わる通報や相談も受け付けております。なお、お客様対応を行う従業員をカスタマーハラスメントから守り、安全に働ける職場環境を提供するという考えのもと、「カスタマーハラスメントに関する考え方」を策定しております。

人権方針の遵守

三菱自動車では、12月10日の“世界人権デー”に合わせて、執行役社長が全役員・従業員に向けて人権尊重に関するメッセージを例年発信し、誠実な言動と意識向上の重要性について伝えるとともに、人権方針について啓発を行い、人権尊重の取り組みの重要性について周知しています。
人権の尊重を推進及び実現するにあたり、当社が掲げる方針や活動は以下のとおりです。

1.差別の禁止

当社は、人種、皮膚の色、国籍、民族、門地、性別、性的指向、性自認、年齢、障がいの有無、言語、宗教などにもとづく不当な差別やハラスメントを容認せず、多様性を尊重するとともに機会の均等に努めることを全役員・従業員に求めています。
また、多様性の重要性について社内研修でも取り上げ、様々な価値観の違いを認め、協働することを促しています。

2.不当な労働慣行の排除

当社は、人身取引を含む奴隷労働や児童労働、強制労働といったあらゆる不当な労働慣行を容認せず、それらの排除に努めています。
具体的には、雇用契約締結時における法定要件を満たすための年齢確認を実施しています。また、採用に係る費用や手数料を、応募者や採用した従業員に請求することはありません。
給与明細には法定控除を明記し不当な控除を行わず、定期的に全額を支払っています。
加えて、従業員に対してはパスポートなどの身分証明書の留置や移動の禁止を行わず、従業員寮への入退寮についても従業員の自由な選択にもとづいています。

3.結社の自由と労使の対話

当社は、従業員が結社する権利を尊重し、従業員との誠実な対話を行うことで、様々な課題の解決に努めています。
労働組合との間で締結している労働協約においても、団体交渉を含む正当な組合活動の自由を認め、この活動を理由に労働条件そのほかについて不利益な取り扱いをしないことを明記しています。

4.ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の確保

当社は、ディーセント・ワークの確保のため、各国の法令を遵守することに加え、国際的規範(「国際人権章典」や「労働における基本原則及び権利に関するILO宣言」など)に準拠した人権尊重の実践に取り組んでいます。
具体的には、社員が安定した生活を維持できる賃金水準を確保しながら、成果を発揮した社員がより高く処遇される仕組みとすることで、社員の意欲向上、能力向上を図ることができるよう人事制度を設計しています。
当社では、所定労働時間を超える業務が必要となる場合、各国・地域の労働関連法令を遵守し、労使協定や就業規則に基づき、従業員への説明と同意のもとで時間外労働を実施しています。
また、時間外労働を実施した際には、法令に従い適正な割増賃金を支給し、従業員の健康と働きやすさに配慮した運用を徹底しています。
そして、これらを適切に評価できるよう、毎年労使交渉を開催し、労使合意のうえで必要に応じた改定・見直しを実施しています。

5.地域社会との共生

当社は、従業員一人ひとりの持つ技術やノウハウ・製品を活用した継続的な社会貢献に取り組むことで地域社会との共生を図っています。

6.業務・投資における人権配慮

三菱自動車は、従業員や地域の皆様との相互理解にもとづく良好な関係は持続可能な当社事業に不可欠であると考え、事業所や関連施設を開設する際は、国や地域の慣習、宗教を含む文化的価値観などに配慮しています。

7.サプライチェーンへの配慮

当社は、取引先に対する人権侵害を発生させないことなどを含めた適正取引を行っており、取引価格や納期を各取引先と十分協議のうえ決定しています。
加えて、「サプライヤー CSRガイドライン」にもとづくマネジメントにより、取引先との双方向のコミュニケーションを図っています。
本ガイドラインには差別撤廃や児童労働・強制労働の禁止など人権尊重の項目を定め、取引先に対して人権に配慮した取り組みを要請するとともに、「サプライヤー合意確認書」を取引先から受領することにより、その実効性を高めています。
また、取引先に受審いただいたCSR第三者評価の中で「労働と人権」について評価し、評価にもとづき、必要に応じてCSR第三者評価向上に向けた改善を要請しています。加えて、AI分析ツールを活用し、サプライチェーン上の人権リスクを分析し、これらのリスクが判明した場合は改善を行い、WEBサイトにて公開していきます。

8.販売会社での取り組み

販売会社では、従業員の安全や健康に配慮した職場環境の整備に取り組み、人権侵害の行為を禁止しています。

指標および目標

中長期目標
  • 法規に則ったデュー・ディリジェンスと情報開示の実施
2025年度の実績
  • Mitsubishi Motors Philippines Corporationで人権アセスメントの実施
  • 2024年度に実施したサプライチェーン上の人権リスク調査について、AIによるリスク分析の対象法令・規制の範囲を拡大し、より網羅的な調査として再度実施
    2024年度 2025年度
    調査対象 836社 836社
    書類調査
    対象
    155社 242社
    ※AIによるリスク分析後、書類調査対象を決定
    書類調査
    回答率
    94.2% 88.8%
    (2026年5月時点)
  • JaCERを通じて人権事案を受領、うち2件についてNGOとのエンゲージメントを図りつつ、人権デュー・ディリジェンスと合わせて対応を実施中
    JaCERを通じて受領した対応中の人権事案(2件)
  • 人事部門の外部研修参加実績:延べ58日間

2025年度の取り組み

人権アセスメント

人権デュー・ディリジェンスの一環として、人権アセスメント(※)を国内外で実地と書面を併用しながら実施しており2025年度は三菱自動車ファイナンス㈱、 Mitsubishi Motors Middle East And Africa FZEにおいて実施しました。2024年度はミツビシ・モーターズ・フィリピンズ・コーポレーション(MMPC)において実施しました。実地におけるアセスメントの実施にあたっては、社外の評価機関を起用し、アセスメントの客観性及び国際規範との整合性を確保しております。また様々な属性を持つ従業員に対して評価機関とともにマンツーマンでのインタビューを行うなど、従業員の関与のもとでインパクトを評価しております。
これまでに実施したアセスメントの結果、事業及び従業員の人権に重大なインパクトをもたらす侵害事項はありませんでしたが、評価機関からの指摘事項については対策案の立案と実行及びモニタリングを進めております。
過去のアセスメントの結果を踏まえて実施した対策には、以下が挙げられます。
就業規則の改訂、従業員寮における避難訓練の拡充、期間従業員募集委託先ウェブサイトにおける募集要項の記載適正化、超勤時間の管理強化、製造工程における保護具着用の再教育、内部通報制度の利用に関する再周知など。

また、2024年度よりAIを活用してサプライチェーン上の人権リスクや紛争鉱物などに関連するリスクの分析を開始しております。バリューチェーン全体を含めた人権リスクの特定と評価を行い、サプライチェーン上流におけるデュー・ディリジェンスを開始しております。

  • 賃金(給与記録、残業代、不当な賃金控除)、児童労働(15歳未満の雇用)、強制労働(移動や退職の自由)、差別(ハラスメント)、健康と安全(トレーニングや教育、避難防災)、救済措置(相談窓口)などの項目について、社外の評価機関との協議のうえでILO基準及び産業界イニシアチブを参考に評価

防止・軽減措置の実施

過去に実施した人権アセスメントの結果に対しては、以下のプロセスを通じ、人権リスクの低減に取り組んでおります。

  • ①
    アセスメント結果のまとめ
  • ②
    改善を要する事項とその実行部門や計画の確定
  • ③
    実施状況のモニタリング
  • ④
    人権委員会への報告

また、アセスメントを通じて指摘を受けた事項については、グループ内で水平展開し、グループ全体で人権リスクの低減を図ることを検討しております。今後はさらに広範囲の人権アセスメントを行い、それによって特定した重要リスクやそれに対する防止・軽減策の検討に加え、防止・軽減策のモニタリングと情報開示を推進する予定です。

従業員教育・研修

当社では、人事部門担当の執行役員が主導し、各地区人事部門が従業員の人権意識の向上に努めております。すべての役員・従業員が人権を尊重するために、階層別研修や新入社員研修をはじめとするさまざまな研修に人権尊重への理解を深めるためのプログラムを組み込んでおります。
2025年度は、新入社員、中堅社員、新任管理職(部長・課長クラス)、約740人を対象に研修を実施しました。また、経営幹部を対象にした研修も実施しました。加えて、「ビジネスと人権」に関するeラーニングを開設しました。

教育・研修実績(2025年度、三菱自動車)

対象 研修内容 受講者数 受講率
新任部長クラス 職場の責任者として求められる社会的な人権課題に関する認識の向上、人権尊重に向けた情報共有、ハラスメント防止および発生時の対応など 49人 100%
新任課長クラス 人権に関する最近のトピック、ハラスメント防止および発生時の対応と管理職の役割など 136人 100%
中堅社員
(昇進者)
人権に関する最近のトピック、業務と人権の関係など 307人 100%
新入社員 企業が人権について取り組む意味、人権全般に関する基礎知識など 248人 100%
希望者 LGBTQに対する理解促進 537人 ―
全従業員 LGBTQに対する理解促進(eラーニング) 8,945人 ―
ビジネスと人権(eラーニング) 10,584人 ―

「世界人権デー」に合わせた社長メッセージの発信

当社では、12月10日の「世界人権デー」に合わせて、代表執行役社長が全役員・従業員に向けて人権尊重に関するメッセージを毎年発信し、誠実な言動と意識向上の重要性について伝えるとともに、人権方針について啓発を行い、人権尊重の取り組みの重要性について周知しております。

外部イニシアチブへの参画

  • 東京人権啓発企業連絡会
  • 三菱人権啓発連絡会