三菱自動車のマテリアリティ

マテリアリティの特定と見直し

三菱自動車は、国連持続可能な開発目標(SDGs)の重要性を認識し、2018年度に環境・社会・ガバナンス各分野のさまざまな課題から当社が取り組むべき重要課題としてマテリアリティを特定しました。

特定に際してはステークホルダーの関心度と自社への影響度の観点から検討を重ね、有識者へのヒアリングを実施しました。そのうえで、サステナビリティ委員会にて議論を重ね、経営会議にて決定しました。

近年、サステナビリティにかかわる社会動向は、大きくかつ急速に変化しており、当社が経済、環境、ならびに人権を含む人々に与える最も著しいインパクトを考慮したうえで、必要に応じてマテリアリティを柔軟に見直し、取り組むことで、ステークホルダーのニーズや期待に応えていきたいと考えています。

特定のプロセス

  1. STEP 1

    課題整理と評価基準の設定

    SDGsおよびGRIスタンダード、当社サステナビリティ活動に対する社外評価などを踏まえ、候補を抽出。
    更に当社の活動が影響を及ぼす範囲(バウンダリー)やビジネスリスクとの整合性を踏まえ、優先度を決めるための評価基準を設定。

  2. STEP 2

    社内における検討

    社内の実務関係者を集めた意見交換会を複数回実施し、自社事業へのインパクトの観点から取り組み優先順位を確認。

  3. STEP 3

    社外有識者へのヒアリング

    社会課題に精通している有識者5人にヒアリングを実施。社会(経済・環境・人々)へのインパクトの観点から、当社が取り組むべき重要課題についてレビュー。

  4. STEP 4

    マテリアリティ確定とKPI決定

    社内外の意見を反映させたマテリアリティマトリックスをサステナビリティ委員会にて検証し、経営会議にて最終承認。あわせてマテリアリティごとのKPIと担当責任者を決定。

社会情勢や課題認識をふまえた見直しの実施

2020年度には、環境問題の深刻化や新型コロナウイルス感染症拡大による社会情勢の変化を踏まえ、サステナビリティ委員会での議論を経て次のとおりマテリアリティを見直し、取締役会において決議しました。

①「環境」に関するマテリアリティ

当社が2020年度に策定した環境計画パッケージでは、環境汚染防止を気候変動対策・資源循環とともに「重点環境課題」と位置付けました。これにあわせて、マテリアリティでも「環境汚染の防止」の自社への影響度を“とても高い”から“極めて高い”に引き上げました。

②「人」に関するマテリアリティ

新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした新しい常態を踏まえ、従来の「働き方改革」と「ダイバーシティ」は、「新しい常態に対応した働き方改革の推進(ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランス)」とすることにより、“多様な社員が活躍できる環境づくりにより組織力と企業価値を高める”との方向性を示しました。

また、2022年度には、今後の当社の持続的成長と企業価値向上に向けて人的資本への対応を強化する必要性から、サステナビリティ委員会での議論を経て次のとおりマテリアリティを見直し、経営会議において決議しました。2020年度に設定したマテリアリティ「新しい常態に対応した働き方改革の推進(ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランス)」への対応は、リモートワークを前提とした柔軟な働き方の拡充を通じて新型コロナウイルス感染症拡大期において一定の成果を得ました。世界的に経済活動が正常に戻りつつある中、今後の「当社の成長を支える従業員は資本である」との考えに立ち、多様な人材を採用・登用し、一人ひとりの違いを認め、活躍できる職場環境や公平な機会を提供することにより、その可能性を最大限に引き出し、エンゲージメントを向上させることがこれまで以上に重要です。

このような認識から、「新しい常態に対応した働き方改革の推進(ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランス)」を「多様な人材が能力を発揮し、誇りとやりがいをもって働ける環境の構築」と改め、人材に関する施策を更に強化する方向性を示しました。

特定されたマテリアリティ

マテリアリティの年度目標設定における中長期視点の反映

三菱自動車は、自動車業界を取り巻くさまざまな変化に対応し、長い視点で事業環境を見極め、中長期的なリスクと機会に対応するためには経営基盤の強化が必要と考えています。そのため、マテリアリティの取り組みについて中長期の視点を入れて年度目標を設定することが重要であると認識しています。

当社は、2021年度に次のステップを踏み、各マテリアリティの取り組みの年度目標を設定ました。

まず、事業活動を行ううえで必須要件と捉えている環境問題への対応、中でも環境方針において特に注力するとした気候変動対策、資源循環、環境汚染防止については、長期の視点として環境ビジョン2050で定めた30年先を、その他のマテリアリティについては国連持続可能な開発目標(SDGs)のゴールである2030年を、それぞれ見据えています。長期の視点で当社が認識する社会問題(リスク)とその問題に対応した結果として得られる効果(機会)について洗い出しを行い、各マテリアリティの実行責任者と協議を重ね、対応の方向性を明確にしました。

中期の視点については3年先を見据え、各マテリアリティの実行責任者とともに外部環境およびステークホルダーのニーズと期待の洗い出しを行い、中期的な取り組み目標を設定しました。なお、リスクと機会など各マテリアリティの中長期的側面および単年度目標・指標は、その妥当性をサステナビリティ委員会において議論しました。2022年度以降は、各マテリアリティの中長期的側面をレビューしたうえで単年度目標・指標の設定を行い、取り組みを進めています。