世界が経済・社会・地政学的に大きな転換期を迎える中、自動車業界もまた、電動化や知能化、そして多様化する価値観への対応が求められる、かつてない変革の時代にあります。こうした不確実性の高い環境において、三菱自動車が持続的に価値を創造し、社会に貢献していくための鍵は、「ユニークさ」、すなわち「三菱自動車らしさ」の追求にあると私たちは考えています。
私たちは、「モビリティの可能性を追求し、活力ある社会をつくる」というビジョンを掲げています。これは、単にクルマをつくるのではなく、人々の移動をより効率的で快適、そして時には冒険心を掻き立てるようなワクワクする体験へと進化させることで、一人ひとりの挑戦や経済活動を後押しし、社会全体の活性化に貢献したいという想いを込めたものです。
このビジョンの実現に向けて、私たちは中期経営計画「Challenge 2025」のもと、アセアンを中心とした成長市場での展開強化、電動化の推進、そして「三菱自動車らしい」商品・サービスの提供に取り組んでいます。特に、PHEVやHEVといった分野では、他社に先駆けて電動車を量産してきた知見を活かし、『アウトランダーPHEV』や『エクスフォースHEV』などで、環境性能と走る喜びを両立した価値を提供しています。
また、フィリピンやベトナムでの展開強化によりアセアンでのシェアを拡大し、中国など販売地域の整理も計画通りに進行中です。商品では『デリカミニ』や『トライトン』といった、アクティブなライフスタイルに寄り添うモデルの投入を通じて、ブランド力の向上にもつなげています。さらに、金融やエネルギー関連サービスなど新たな事業領域にも挑戦し、収益基盤の多様化を進めています。
こうした取り組みを支えるのは、変化にしなやかに対応できる「小回りの利く力」と、これまでも大切にしてきた「三現主義(現場・現物・現実)」の文化です。現場に足を運び、現物を見て、現実を正しく捉える。この基本を徹底し、多様な人材が議論を重ねることで、真に価値ある意思決定を行っています。
私たちは、流行に流されるのではなく、お客様にとっての本質的な価値を見極め、地に足の着いた投資と経営判断を行うことを重視しています。そして、「三菱自動車でこれを成し遂げたい」という強い意志を持った人材が集い、その挑戦を支える企業文化を育むことが、価値創造の源泉であると信じています。
株主・投資家の皆様との対話の中で、「アセアンでの強みや商品の独自性を持つ、ナイスニッチな企業」との評価をいただくことがあります。これは、私たちの目指す方向性が確かに伝わっている証であり、大きな励みとなっています。私たちが目指すのは、短期的な成果ではなく、「三菱自動車らしさ」という独自の強みを磨き上げ、着実で力強い成長を遂げることです。それにより、持続的な企業価値の向上と安定的な株主還元を実現し、社会に対しても確かな価値を提供してまいります。
これからも、三菱自動車は挑戦を続けます。すべてのステークホルダーの皆様とともに、より良い未来を築いていくために、私たちは一丸となって前進してまいります。 引き続き、三菱自動車の挑戦と成長にご期待ください。
2025年