トップメッセージ

「三菱自動車らしさ」を徹底的に磨き上げ、さらなる成長と次の時代に向けChallengeします

事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します

自動車業界は、地球温暖化対策としての電動化に加え、AI技術の進化をはじめとした知能化が進むなど、人の移動とモノを運ぶための手段であった自動車の概念が大きく変わる「100年に一度」の大変革の時代を迎えています。
このように自動車を取り巻く社会のニーズが大きく変化するなか、当社は「モビリティの可能性を追求し、活力ある社会をつくります」というビジョンを掲げ、その実現に向けて、環境、社会、ガバナンスの分野で14の重要課題を特定し、全社で取り組みを進めています。
その具体化に向け、2023年3月に策定した中期経営計画「Challenge 2025」では、これからのモビリティビジネスの構築に挑戦するとともに、地球規模の課題であるカーボンニュートラルの実現、そして人権尊重や多様な人材が活躍できる職場づくりを重要な柱として位置づけました。
当社がめざすのは、「『環境×安全・安心・快適』を実現する技術に裏付けられた信頼感により、冒険心を呼び覚ます心豊かなモビリティライフをお客様に提供する」ことです。この三菱自動車らしさを徹底的に磨き上げながら、多様なステークホルダーとの対話を通じて相互理解を深め、クルマという身近な製品を提供することで持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

「環境ビジョン2050」の実現に向けた挑戦

水と緑が豊かな、かけがえのない地球環境を次世代に継承するために、気候変動をはじめとする環境問題への対応が企業に求められています。
このような社会の要請に応えるために、当社では「環境ビジョン2050」を策定し、「気候変動対策」「資源循環」「環境汚染防止」の3つの柱で、2050年までに実現したい社会像と私たちの取り組みの方向性を定めました。
まず「気候変動対策」については、サプライチェーン全体で2050年にカーボンニュートラルを実現することをめざします。そのために、各国・地域の状況に応じた電動車(電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車)を市場に提供するとともに、サプライヤーとの協働を通じて低CO2材料・部品を採用するなど、CO2排出削減に向けたさまざまな取り組みを進めます。
さらに、「資源循環」、サーキュラーエコノミーへの関心が高まるなか、当社もその実現に向けたさまざまな取り組みを開始しました。具体的には、リサイクルに配慮した設計・開発や、使用済自動車のリサイクル促進、また生産活動における排出物の発生抑制と再資源化などを通じて、投入資源の最小化と資源効率の最大化を図ります。
また、「環境汚染防止」では、走行時の排出ガスのクリーン化といった製品面での取り組みに加え、事業活動にともなう汚染の低減などにより、人の健康と生態系に影響を及ぼす環境汚染のない社会の実現に貢献していきます。

人権尊重の取り組みを引き続き強化

グローバルに事業を展開し持続的に成長していくためには、企業としての社会的責任を果たしていくとの観点から、人権尊重への取り組みは欠かせません。
当社は「国際人権章典」「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的な規範や基準を支持・尊重するとともに、「人権方針」を定めて、差別の禁止や不当な労働慣行の排除を明確に掲げています。
これまでも、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを通じて、当社およびグループ会社において人権アセスメントを実施しているほか、サプライチェーンにおいても、人権尊重の取り組みは重要な課題であることから、各取引先には「サプライヤーCSRガイドライン」への合意をいただくとともに、第三者評価機関による取引先へのCSRアセスメントなどを通じた状況把握に努めています。
こうした人権尊重に対する取り組みをいっそう強化するため、2024年11月には社内に「人権委員会」を新たに設置しました。
自動車産業の調達先の裾野は大変広く、かつ複雑です。直接の取引先以外での原材料の調達や部品生産といった場での人権侵害も含めあらゆる人権リスクを確実に排除するため、サプライチェーン全体での人権侵害防止の強化に取り組んでいきます。

人的資本経営の推進

先に述べたように、事業環境は急速に変化し、日本国内においては少子高齢化が加速しています。そのなかで、当社が持続的に成長し企業価値の向上を実現していくための最も重要な経営資本は人材です。
こうした認識のもと、私たちは高い志や専門性を持つ多様な人材を獲得・育成し、さらにはその人材が長く活躍できる環境づくりに注力しています。従業員一人ひとりがやりがいを感じ、能力を存分に発揮して、心身ともに健康でいきいきと働ける環境を整えることが重要だと考えます。
そのために、中期経営計画「Challenge 2025」を支える人材戦略として、「より一層働きやすい職場への改革」「教育・リスキリングプログラムの充実」「多様で幅広い人材確保の推進」を重点項目として取り組んでいます。これらの重点項目に沿って、働き方改革や各種人事制度・施策の見直しなどを積極的に進め、一人ひとりが働きがいを感じられる職場の確立と、継続的な人材育成を推進していきます。

結びに、当社は、お客様や株主様をはじめ、すべてのステークホルダーのご期待に応える価値の提供をめざしています。そのためにもコンプライアンスを最優先に、ガバナンスの継続的な強化・充実に取り組んでまいります。
また、私たちの企業活動は、お客様と地域社会の皆様によって支えられています。あらゆるステークホルダーの信頼を裏切ることがないよう、すべての人の役に立ち、企業として新たな価値を創造し続けられるよう、努力し、今後も透明性を高く保ちながら、グループ全体でのサステナブル経営をいっそう強化してまいります。

三菱自動車工業株式会社
代表執行役社長
兼 最高経営責任者
加藤 隆雄