基本的な考え方
ワーク・ライフ・バランス
当社グループは、一人ひとりがやりがいを持って働き、自身の能力を存分に発揮し、心身ともに健康でいきいきと働ける職場環境を整えることが、重要な課題と認識しています。
こうした認識のもとで、個々の能力を最大限発揮できる働き方が可能となる環境を整備し、仕事の生産性向上と生活の質向上の双方が両立するワーク・ライフ・バランスの実現を支援することで、多様な人材の活躍を価値創造につなげています。当社では、フレックスタイム制度やリモートワーク制度、また両立支援施策として短時間勤務や各種休暇・休業制度を整備するなど、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を推進しています。
ダイバーシティ推進方針
お客様ニーズの多様化や技術革新などによる市場環境・経営環境の著しい変化に対応し、当社グループが持続的に成長していくためには、異なる価値観や考え方を持つ社員が互いに切磋琢磨し、クルマの新しい魅力・価値を創り出していくことが重要です。そのために、当社グループでは、人種、国籍、民族、性別、性的指向、性自認、年齢、障がいの有無、宗教を問わず社員の多様性を尊重し、一人ひとりが働きやすく、いきいきと仕事ができる環境づくりに取り組んでいます。
また、ダイバーシティを浸透させ実現するため、2014年に策定した「ダイバーシティ推進方針」に基づき、ダイバーシティ推進室を設置してDi@MoND活動を推進しています。この活動は、多様性を受け入れ、社員の多様な個性を活かし、会社と社員一人ひとりの成長につなげることを目的としています。社員の誰もが働きやすく、働きがいをもって活躍できる環境づくりを進めています。
よりいっそう働きやすい職場への改革
フリーロケーション化の推進
当社では、社員一人ひとりがより効率的かつ、柔軟な働き方を実現し、ワーク・ライフ・バランスを確立できるよう、リモートワーク制度を導入しています。
本制度は継続的に広く利用されていますが、育児や介護といったやむを得ない理由により、出社することに制約がある社員に対しては、働けなくなるリスクを回避するため、フルリモートという形でリモートワーク制度を弾力的に運用することで、ワーク・ライフ・バランスが維持できるように配慮しています。一方、出社勤務では、組織での対面のコミュニケーションが行われることで新しい発想の創出にもつながり、また知識・スキルを習得する機会が得られるなど、効果的・効率的な成長が期待できることから、出社とリモートのバランスを考慮した、より良い働き方の実現に向けて取り組んでいます。
また、育児や介護などに配慮した柔軟な勤務体系の観点では、さまざまな両立支援制度の拡充に努め、社員が働きやすい基盤づくりを進めています。2018年度には「両立支援コンシェルジュ」を社内に設置し、育児や介護など社員の個別相談に対し適した制度の活用を案内しています。コンシェルジュに集められた社員の声から、制度・取り扱いを改善するなど、より柔軟な働き方が実現できるよう環境づくりに取り組んでいます。
仕事と育児の両立を支援
当社は、仕事と育児の両立をめざす従業員を積極的に支援しています。設備面では、企業主導型保育施設として、岡崎製作所内に「ディア・キッズおかざき」(2017年4月)、本社ビル内に「ディア・キッズたまち(2019年2月)を開設しています。また2023年度からは、全社員を対象に両園スタッフによる「育児相談」を実施しており、社員やその家族からの育児の相談にオンラインや電話で個別に応じています。
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従業員向け保育園「ディア・キッズたまち」(本社内)
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「ディア・キッズおかざき」(岡崎製作所内)
環境整備面では、改正育児・介護休業法の施行にともない男性の育児休業取得をさらに促進するため、管理職向け研修、プレパパ・プレママ向けセミナー、eラーニングを継続的に実施しています。さらに、2024年度には管理職向け研修、プレパパ・プレママ向けセミナー、育休復帰セミナーの動画を作成し、各自が都合のよい時間に視聴できる環境を整備しました。男性社員の育児休業取得率を、女性社員育児休業取得率に近づけることを目標に取り組みを進めています。
仕事と介護の両立を支援
高齢化社会が進むなか、社員の仕事と介護の両立を支援することが重要と考えています。介護の専門家にメールや電話で随時相談できる窓口を設置しているほか、仕事と介護の両立に向けた基本知識について外部講師から学ぶ「介護オンデマンド動画セミナー」の配信を継続実施しています。
また、各自都合のよい時間に視聴できるよう、介護のポイントが理解できる「介護ショート動画」も展開しています。
両立支援制度
| 制度 | 内容 | |
|---|---|---|
| 育児 | 妊娠期休業 | 妊娠から産前休業の前日までの間で、あらかじめ申し出た期間に取得可能(回数制限なし) |
| 産前産後休業 | 産前6週間、産後8週間 | |
| 配偶者出産休暇 | 配偶者が出産をするとき、配偶者の出産(予定日)前日から出産後14日までの間で2日以内取得可能 | |
| 育児休業 | 3歳到達日の翌年度4月末まで取得可能 | |
| 出生児育児休業 | 出産(予定)日~8週間以内のうち、最大4週間取得できる制度。休業中の一部就業も可 | |
| 子の看護休業 | 小学6年生の年度末まで、対象となる子1人の場合は5日以内、2人以上の場合は10日以内(それぞれ最初の5日間は有給) | |
| 育児勤務 | 小学6年生の年度末まで、勤務時間を4、5、6、7時間から選択(フレックスタイム併用可) | |
| 介護 | 介護休業 | 介護対象者1人につき、通算3年まで取得可能 |
| 短期の介護休業 | 介護対象者1人の場合は5日以内、2人以上の場合は10日以内(それぞれ最初の5日間は有給) | |
| 介護勤務 | 介護事由がなくなるまで取得可能。勤務時間を4、5、6、7時間から選択(フレックスタイム併用可) | |
| 共通その他 | ライフプラン休業 | 業務外の傷病への対応、親族の介護・看護、子の育児、不妊治療、ボランティア活動、語学研修などを行うための休業、1年間で10日以内 |
| 積立休暇 | 業務外の傷病への対応、親族の介護・看護、子の育児、ボランティア活動、不妊治療を行うための休業、年次有給休暇の残存日数のうち、年4日を限度に最大40日まで積み立て可能 | |
| フレックスタイム | 所定労働日に勤務時間帯の中で、始終業時刻を設定する制度(コアタイムなし) | |
| リモートワーク制度 | 一定の条件を満たす自宅や親族宅以外の場所での勤務を認め、リモートワーク手当を支給 | |
| 再雇用制度 | 対象は妊娠・出産・育児・介護・結婚・居住地変更をともなう配偶者の異動、そのほか会社が認めた理由により退職する社員。再雇用資格の期限は退職後5年以内 | |
| 帯同休業 | 配偶者の国内外の転勤や留学先に帯同するための休業制度。休業期間は1カ月以上5年以内の範囲 | |
外国籍従業員の受け入れ環境の整備
当社では、年々増加する外国籍従業員の受け入れ対応の一つとして、宗教・宗派を問わず利用可能な祈祷室を本社と岡崎地区の2拠点に設置しており、各拠点を訪問するお客様やサプライヤーなどのステークホルダーにも開放しています。岡崎地区の祈祷室には、礼拝前に身体を清めるための「小浄施設」も設置しています。
LGBTQに対する理解の促進
当社は「人権方針」において、ステークホルダーの人権尊重を定め、性別、性的指向、性自認などに基づく不当な差別やハラスメントを容認せず、多様性を尊重することを表明しています。さらに、すべての役員・社員が守るべきグローバル行動規範の「人権と多様性の尊重、機会平等」においても尊重を明記しています。
これらの考え・方針のもと、社内のLGBTQ当事者が活躍できる働きやすい環境づくりをめざし、職場環境の改善や社内制度の整備に努めています。社員制度においては、結婚の定義に同性婚の関係を含め、結婚休暇や育児休業の取得、社宅の利用を認めています。また、LGBTQを正しく理解し基本的な知識を身に付けること、およびALLY(アライ)と呼ばれる支援者を増やすことを目的に、セミナーやeラーニングを実施しています。2018年度より開催している外部講師による理解促進セミナーには、2024年度は約485人の従業員が参加し、eラーニングは、9,259人の従業員が受講しました。これらの教育を受講した従業員のうち、希望者には当社オリジナルの「ALLYステッカー」を配布しALLYの見える化を推進しています。
社外イニシアティブへの参画
当社は、婚姻の平等を求める企業を募る「Business for Marriage Equality」キャンペーンへの賛同を表明しています。
同キャンペーンは、日本で活動する3つの非営利団体による、同性婚の法制化に賛同する企業を可視化することを目的としており、当社は企業としての社会的役割を果たすため、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け積極的に取り組んでいます。キャンペーンへの賛同により、SDGsの目標「5. ジェンダーの平等」「10. 不平等をなくす」ことにいっそう貢献していきます。
多様で幅広い人材確保の推進
フレキシブルな給与体系の導入
多様な人材の確保と適材適所の実現を通じ、企業競争力をいっそう強化するため、当社では管理職層を対象に「役割グレード制」を導入しています。同制度は、個々の年次や職歴にとらわれることなく、担う役割とその重要性に応じて処遇を決定する仕組みであり、役割の大きさや責任の度合いに応じて報酬を適切に設定する柔軟な給与体系を構築しています。これにより、年功的な運用に流れがちな従来の処遇体系を見直す契機をつくり、多様なバックグラウンドを持つ人材を社内外から広く確保しやすくしています。特に、技術革新や市場・経営環境の急激な変化に迅速かつ的確に対応するためには、事業戦略や組織ニーズに応じて必要な役割を定義し、求められるスキルや経験を備えた人材に対して、公正かつ競争力のある報酬を提示することが不可欠です。
今後は、こうした「役割グレード制」の運用をさらに深化させ、外部環境や事業戦略の変化に即応できる柔軟な処遇体系として、より高い実効性を追求していきます。
多様な人材が活躍できる職場の構築
多様な人材が活躍できる環境づくりを進めるために、2023年度までの促進活動に加え、新たな取り組みを検討・実施しています。
障がい者の雇用においては、全社として雇用を促進していくため、特例子会社での採用促進のほか、本社人事部門内に人員を配置し、集中型の雇用を展開するなどの雇用バリエーションの拡大、各地区の状況を踏まえた雇用促進セミナーの実施など、各部門が連携して、より多様な障がい者の方が活躍できる職場づくりの検討と実行を進めています。
さらに、シニア人材がこれまで以上に活躍できるよう、雇用年限の見直しを含めた雇用のあり方、労働条件の見直しを検討しています。また生産部門においては、シニア人材に適したより負荷の少ない仕事の創出を推進しながら、働きやすい環境整備に向けた施設の更新や、事務所部門でのITツールの更新・導入なども計画しています。
女性社員の活躍推進
当社は、「女性活躍推進」を重点課題の一つに設定しています。2024年4月には、女性活躍推進法に基づき「女性活躍推進行動計画」を策定し、2029年3月までに「女性管理職比率と間接従業員に占める女性比率とのギャップを縮めていく」ことを目標とする取り組みを継続的に進めています。
この一環として、社員のモチベーション・スキルの向上、社外ネットワークの構築を目的とし、当社の管理職候補者や現役管理職を選抜し、公益財団法人21世紀職業財団が主催する女性活躍サポート・フォーラムに継続して派遣しています。また、リーダーシップスタイルやマネジメントスキルを学ぶ機会として、あいち女性の活躍促進事業実行委員会のセミナーにも岡崎地区の女性管理職候補者を派遣しています。
障がい者の雇用促進
誰もが活躍できる職場をめざし、障がいのある方を幅広い職種で積極的に採用しています。2024年度における当社の障がい者雇用率は法定雇用率を上回る2.55%であり、今後もさらなる雇用促進と社内環境の整備に取り組んでいきます。
当社単独では、身体、精神、知的障がいのある社員が約190人勤務しています。オストメイトや車いすにも対応した多目的トイレの設置のほか、聴覚障がいのある社員に対するコミュニケーション補助ツールの配布など、障がいのある社員に配慮した職場づくりを進めています。2024年度からは、本社の人事本部内に専門人材を配置し、部署集中型でも雇用を展開できるようにするなど、多様な障がいのある方々に、働く可能性を広げる取り組みを推進しています。
2007年4月に設立した特例子会社「三菱自動車ウイング株式会社」(2023年12月にMMCウイングから名称変更)においても、障がい者雇用の促進を図っており、岡崎、水島、京都の各製作所内に事業所を構え、身体、精神、知的障がいのある社員が計80人勤務しています。同社は設立から18年目に入り、ハローワーク、県内の障がい者就労支援機関や特別支援学校から障がい者就労に関するお問い合わせやご相談を多数いただくなど、地域での認知度も向上しています。また、障がい者の就労支援への協力として、特別支援学校、就労支援機関からの現場体験実習を積極的に受け入れ、集団行動や仕事の進め方などについての指導も担っています。
今後、各職場における障がい者雇用の取り組みの共有や、全社共通の理解浸透セミナーの開催など、全社でさらなる雇用促進を見据えた企画を展開していく予定です。
シニア人材の雇用
当社では、技能・技術の伝承や知識・経験が豊富な人材の確保などを目的に、定年退職後のシニア人材を継続雇用する制度を運用しています。
2025年3月時点で814人の再雇用者が在籍し、技能・技術の伝承や後進育成にあたっています。