岡崎地区でいきもの調査を実施しました。
三菱自動車は、岡崎市にある岡崎製作所・技術センターでクルマの生産・開発を行っています。
この岡崎地区の拠点では、1962年にテストコースを造成し、1977年にはクルマの製作所が操業を開始しました。現在では、約100万m2と広大な土地を利用しているため、地域の生物多様性に影響を与えていると考えられます。
そこで、この岡崎地区における土地利用の影響を把握し、生物多様性保全に向けた取り組みを行うため、2016年の2月から11月まで、いきもの調査を実施しました。
今回の調査の位置づけ

滋賀工場のいきもの
当社は、2010年に「三菱自動車グループ生物多様性保全基本方針」を制定・公表し、生物多様性保全の取り組みをスタートしました。
2013年からは、滋賀工場で生物調査を実施し、様々な在来種の生息を確認しました。2014年からは、裸地への在来種の植栽や、希少な在来種「サギソウ」が生息する”湿地”での外来種駆除など生物多様性保全に取り組んでいます。
このような生物調査とその結果に基づく保全活動を他の地区においても展開する必要があるとの認識のもと、今回、岡崎地区での生物調査に取り組みました。
1年を通じたいきもの調査

鳥類の調査
文献による周辺環境の調査と構内での現地調査を行いました。現地調査については、2016年の2月に冬のいきもの調査を開始しました。春、夏、秋についても調査を実施し、植物、哺乳類、爬虫類、両生類、昆虫類、鳥類、陸産貝類(カタツムリなど)を調査しました。
今回の調査では、愛知県をはじめ日本全国で数多くのいきもの調査などを手掛けられている株式会社地域環境計画にご協力を頂きました。
岡崎地区の周辺環境について

周辺の緑地のつながり
文献による周辺環境の調査結果から、以下のことが明らかになりました。
岡崎地区の東には広大な三河山地の緑地が広がり、三河山地を流れてくる矢作川に沿っても緑地が続いています。そして矢作川の周囲には水田などが存在しており、これらの場所には様々ないきものが生息しています。
岡崎地区の構内や周辺の環境を保全することで、このような様々な生態系のつながりをさらに強化することに貢献できると考えています。
構内の調査結果
1年を通じた現地調査の結果、外来の植物が多く確認されました。これは、植栽により導入したものや、種子が動物の糞に混ざって運ばれてきたもの、風に乗って飛んできたものなどと考えています。
一方で、緑地はまとまった面積を有していることから、動物の利用が確認できました。哺乳類、爬虫類などの確認例は多くありませんでしたが、昆虫類や鳥類では、重要種を含む在来種を確認しました。
見つかったいきもの

イヌタデ

ヤマモモ

トウネズミモチ(外来種)

コウベモグラの坑道

ネズミ類の坑道

タヌキの溜め糞

アマガエル

ヤモリ

ヒガシニホントカゲ

ハイタカ
(環境省レッドリスト準絶滅危惧)

オオタカ
(環境省レッドリスト準絶滅危惧)

ヤマトアシナガバチ
(環境省レッドリスト情報不足)
今後の取り組み
今回の調査により、いきものの種類数や個体数が多い環境ではないこと、外来種が存在することなど、構内の緑地における課題が明らかになりました。
今後は、いきものと共生し、地域の生物多様性に貢献できる事業所を目指し、社内の意識醸成、在来種主体の自然環境の形成、多様な環境の創出などに取り組んでいきたいと考えています。