水島地区 いきもの調査

水島製作所でいきもの調査を実施しました

水島製作所は、岡山県倉敷市の水島コンビナート内にあり、乗用車・軽自動車・自動車用エンジン・トランスミッションを生産しています。水島製作所における土地利用が生物多様性に与える影響を把握し、生物多様性保全に向けた取り組みを行うことを目的に、2017年の4月から2018年3月までいきもの調査を実施しました。

水島製作所と所内緑地

水島製作所と所内緑地

水島製作所と所内緑地

今回の調査の位置づけ

当社は2010年に「三菱自動車グループ生物多様性保全基本方針」を制定・公表し、当方針のもと、2019年度までに当社国内主要拠点での生物調査の完了を目指しています。

2013年に京都製作所 滋賀工場(滋賀県)、2016年に岡崎製作所および技術センター(愛知県)でいきもの調査を実施し、さまざまな在来種の生息を確認するとともに、調査結果に基づいて、外来種駆除や在来種の保護・育成などの生物多様性保全に取り組んできました。

主要な生産拠点の一つである水島製作所(岡山県)においても、生物多様性保全活動を進めるべく、その第一段階として、いきもの調査を行いました。

1年を通じたいきもの調査

製作所内の動植物の生息・生育状況を1年に亘り現地調査しました。2017年の4月に春のいきもの調査を開始し、夏、秋、冬とそれぞれ調査を実施し、植物、鳥類、昆虫類、水生生物について調査しました。

当調査は、生物調査・分析の専門家である株式会社ラーゴへ委託しました。

植物調査の様子

植物調査の様子

水生生物調査の様子

水生生物調査の様子

ライトトラップでの昆虫調査

ライトトラップでの昆虫調査

調査結果

1年を通じた現地調査の結果、植物226種、鳥類26種、昆虫類155種、水生生物11種を確認しました。

区分 種数 主な種名
植物 226 カイヅカイブキ、サルスベリ、ヒラドツツジ、マテバシイ、モッコク、エノキ、クスドイゲ、アオツヅラフジ、キカラスウリ、マスクサ、アカメヤナギ、ヨシ、ハマスゲ、ハタガヤ、カタバミ、ホトケノザ、シロツメクサ(外来種)、ヒメジョオン(外来種)、ムラサキウマゴヤシ(外来種)、トウネズミモチ(外来種)
鳥類 26 キジバト、ハシボソガラス、ツバメ、ヒヨドリ、メジロ、スズメ、ハクセキレイ、カワラヒワ、エナガ、ホオジロ、ミサゴ、ノスリ
昆虫類 155 クマゼミ、アブラゼミ、アオスジアゲハ、ヤマトシジミ、ショウリョウバッタ、ナナホシテントウ、シオカラトンボ、セズジイトトンボ、スナアカネ、オオハサミムシ、クロバネツリアブ、アマクサキジラミ、サツマキジラミ、クストガリキジラミ
水生生物 11 シオカラトンボの幼虫、ハイイロゲンゴロウ、アメリカザリガニ(外来種)、サカマキガイ(外来種)

確認された重要種

製作魚食性の猛禽類であるミサゴと樹林に生息するノスリの飛翔を確認しました。

また、製作所の周辺の上空ではハヤブサが確認されました。製作所内緑地ではハヤブサに捕食された可能性があるキジバトなどの中小型鳥類の食痕が複数個所で確認されており、ハヤブサが製作所の緑地を餌場として利用している可能性が高いと思われます。

ミサゴ 環境省レッドリストおよび岡山県 レッドデータブックにおいて準絶滅危惧種

ミサゴ
環境省レッドリストおよび岡山県
レッドデータブックにおいて準絶滅危惧種

ノスリ 岡山県レッドデータブックにおいて準絶滅危惧種

ノスリ
岡山県レッドデータブックにおいて準絶滅危惧種

ハヤブサ 種の保存法国内指定種、環境省レッドリストおよび岡山県レッド データブックにおいて絶滅危惧II類

ハヤブサ
種の保存法国内指定種、
環境省レッドリストおよび岡山県レッド
データブックにおいて絶滅危惧II類

製作所内の緑地で発見されたキジバトの羽根(ハヤブサに捕食された可能性が高い)

製作所内の緑地で発見されたキジバトの羽根
(ハヤブサに捕食された可能性が高い)

水島製作所全体の評価

水島製作所はコンビナートの中にありますが、所内の緑地は周辺の自然環境とつながっており、地域の生態系の一部となっていることが分かりました。

所内には広い草地のほか、高木・中木・低木からなる樹林帯など多様な環境があり、生物の生息環境として価値の高い地点が確認されました。こうした地点では多様な植物や鳥類・昆虫類が見られました。

カタバミ

カタバミ

ホオジロ

ホオジロ

アオスジアゲハ

アオスジアゲハ

エノキ

エノキ

エナガ

エナガ

セスジイトトンボ

セスジイトトンボ

また、ハマスゲやハタガヤなどの海浜植物、海岸の岩場に生育する樹木のクスドイゲのほか、砂浜を好むオオハサミムシも確認され、製作所が立地する沿岸部の海浜環境らしい結果も得られました。

ハマスゲ

ハマスゲ

クスドイゲ

クスドイゲ

オオハサミムシ

オオハサミムシ

一方で、アメリカザリガニやトウネズミモチをはじめとする外来種も確認されました。

アメリカザリガニ

アメリカザリガニ

トウネズミモチ

トウネズミモチ

オオハサミムシ

ムラサキウマゴヤシ

今後の取り組み

今回の調査で確認された製作所と周辺の自然環境とのつながりを大切にし、生物多様性保全を意識した所内緑地の維持管理を行うことで、地域の生態系保全に努めたいと考えます。