京都工場 いきもの調査

京都工場でいきもの調査を実施しました

京都工場は、京都府京都市の都市部にあり、周囲に多くの家や工場があります。一見、いきものが暮らす環境としては厳しいように思われますが、京都工場における土地利用が生物多様性に与える影響を把握し、生物多様性保全に向けた取り組みを行うことを目的に、2019年4月から10月までいきもの調査を実施しました。

京都製作所 京都工場

京都製作所 京都工場

京都工場内の緑地

京都工場内の緑地

今回の調査の位置づけ

当社は2010年から生物多様性保全に取り組み、2013年に京都製作所 滋賀工場(滋賀県)、2016年に岡崎製作所および技術センター(愛知県)、2017年に水島製作所(岡山県)、2018年に十勝研究所(北海道)でいきもの調査を実施し、さまざまな在来種の生息を確認するとともに、調査結果に基づいて、外来種駆除や在来種の保護・育成などに取り組んできました。

主要な拠点の一つである京都工場においても、生物多様性保全活動を進めるべく、その第一段階として、いきもの調査を行いました。

調査結果

調査の結果、京都工場において、367種もの動植物の生息が確認されました。希少種や緊急性の高い外来種などは確認されませんでしたが、ウマノアシガタやシラスゲなど、主に里地に生育し、都市部では珍しい植物が見つかりました。当該地域にかつて広がっていた里山環境の名残りであると考えられます。

京都工場は1944年以前から前身の工場があり、その当時の製作所周辺はまだ水田などの里地環境が広がっていました。その後、京都工場の周辺は都市化し、里地の植物の生育環境は失われて行きますが、構内は当該地域が都市化する以前から現在に至るまで緑地が残り、定期的に草刈りなどの管理が行われてきたため、里地の植物が構内の敷地に入り込んだ後、現在まで生育し続けられたと考えられます。

したがって、京都工場は当該地域にかつて見られた植物が局所的に生き残っている場所(レフュージア)になっていると考えられ、地域の生物多様性を保全する上で重要な環境であると言えます。

確認されたいきもの(一例)

カワラヒワ

カワラヒワ

コゲラ

コゲラ

シジュウカラ

シジュウカラ

ウマノアシガタ

ウマノアシガタ

シラスゲ

シラスゲ

ムラサキシジミ

ムラサキシジミ

ハラオカメコオロギ

ハラオカメコオロギ

オオシオカラトンボ

オオシオカラトンボ

ギンヤンマ(やご)

ギンヤンマ(やご)

今後の取り組み

京都工場では、これまで京都文化に根ざした在来種であるフタバアオイを構内で育成するなど、地域と連携した生物多様性保全を進めてきました。さらに今後は、今回の調査で確認された京都工場と周辺の自然環境とのつながりを大切にし、生物多様性保全を意識した構内緑地の維持管理を行うことで、地域の生態系保全に努めてまいります。