トップコミットメント

「三菱自動車らしさ」を徹底的に磨き上げ、さらなる成長と次の時代に向けChallengeします

近年、気候変動への対応や人権尊重などのサステナビリティに関する課題が企業経営において益々重要になっています。加えて、AIやIoTなどテクノロジーの発展により、人の移動とモノを運ぶための手段であった自動車の概念は大きく変わりつつあり、自動車業界は新しい時代に向かおうとしています。
原材料費や人件費の高騰、不安定な為替などにより先行きが不透明な状況ではありますが、三菱自動車は、地球規模の課題であるカーボンニュートラルの実現のほか、モビリティビジネスの構築、人権尊重や多様な人材が活躍できる職場の確立に取り組むことで、「当社自身が変わるという挑戦」、そして「新しい時代に対応していく備えとして、経営基盤を一層強化するという挑戦」、この二つに挑戦し続けます。
そのうえで、「『環境×安全・安心・快適』を実現する技術に裏付けられた信頼感により、冒険心を呼び覚ます心豊かなモビリティライフをお客様に提供すること」という三菱自動車らしさを徹底的に磨き上げ、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長を目指していきます。

2050年カーボンニュートラルに挑戦します

今や世界の共通課題である2050年カーボンニュートラルの実現に向けた対応は、当社の将来を決める極めて重要な取り組みであると認識しています。
気候変動対策を事業戦略策定上の重要な課題の一つと位置付け、気候変動リスクおよび機会への対応策を、環境への取り組みの方向性と目標を定めた「環境計画パッケージ」や、事業戦略に反映させることで、事業の持続的な成長や将来リスクの低減につなげ、企業としてのレジリエンスを高める取り組みに挑戦していきます。
具体的には、長期・中期・短期のリスクおよび機会の洗い出し・評価を行い、特に影響度の大きい項目として「燃費/CO2、ZEV規制などの強化」「カーボンプライシングの導入・拡大」、「電動車の需要拡大」を特定しました。これらの項目に対して、国際機関などが公表している複数のシナリオから、当社事業への影響分析および対応策の検討を進めています。
当社は、昨年サプライチェーン全体で2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言し、あわせて環境ビジョン2050の中で新たに打ち出しました。更に今年に入り、環境ターゲット2030の目標を一部見直し、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたマイルストーンを示しました。
電動車の販売比率は2030年度に50%、更には2035年度に100%とすることを目指します。世界市場のさまざまなニーズに応えるべく、アライアンスの技術を活用しながら、各国・各地域のエネルギー事情やインフラ整備状況などに応じて、最適な電動車(電気自動車・プラグインハイブリッド車・ハイブリッド車)を適切なタイミングで投入します。2023年3月に公表した新中期経営計画「Challenge 2025」にもとづき、今後5年間で9車種の電動車を投入する予定です。
また、事業活動では、2030年度目標としてCO2排出量を2018年度比で50%削減する目標を掲げており、目標達成に向け省エネルギー活動の推進や再生可能エネルギーの導入・拡大などを進めます。加えて、サプライチェーン全体のCO2削減に向けて、主要な取引先および輸送会社と協力し、原材料・部品の生産・調達段階や、製品を含めた物流領域のCO2排出量の低減などを推進していきます。

モビリティの可能性を追求していきます

大変革時代の生き残りをかけ、当社はデジタルトランスフォーメーション、新事業への取り組みに挑戦していきます。例えば、電動車の使用済みバッテリーを蓄電池として活用し電力の需給を調整するとともに、災害による停電時などの緊急電源として車載バッテリーを活用する実証実験などに取り組んでいます。こうした自動車メーカーならではのエネルギーマネジメントやバッテリーの利活用といった事業機会の可能性を模索し、新たな収益の柱とすべく本格展開に向けた基盤構築を進めます。

働きがいのある環境の構築と人材育成を推進します

事業環境が急速に変化する中、当社が持続的に成長し企業価値の向上を実現していくためには、志ある人材を獲得・育成し、更に、リテンションを図ることが欠かせません。一人ひとりがやりがいを持って働き、能力を存分に発揮し、心身ともに健康でいきいきと働ける環境を整えることが重要であり、人材は資本であるとの想いから「多様な人材が能力を発揮し、誇りとやりがいをもって働ける環境の構築」を新たにマテリアリティとして特定しました。特定にあたっては、全ての社員が理解しやすく、共通の認識を持てるよう経営陣が議論を重ねました。
今後の成長に向け、人材の活躍をより一層促進するため新中期経営計画「Challenge 2025」を支える人材戦略の方向性として掲げた、「より一層働きやすい職場への改革」、「教育・リスキリングプログラムの充実」、「多様で幅広い人材確保の推進」を重点項目として、人材育成を推進します。

人権尊重の取り組みを引き続き強化します

グローバルに事業を展開し持続的に成長するためには、人権尊重の取り組みが不可欠であり、当社グループでは、「人権方針」で差別の禁止や不当な労働慣行の排除などを示しています。2021年度の本社および国内の3製作所に続き、2022年度はアセアンの主要生産拠点であるミツビシ・モーターズ(タイランド)・カンパニー・リミテッド(MMTh)において海外では初めての人権アセスメントを実施するなど、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを通じて事業活動が人権に与える負の影響を特定し、その防止に取り組んでいます。
自動車産業の複雑なサプライチェーンにおける人権尊重の取り組みに関しては、お取引先様に「サプライヤーCSR調達ガイドライン」に合意いただくとともに、第三者評価機関によるお取引先様へのCSRアセスメントなどを通じて把握に努めています。原材料の調達や部品生産において深刻な人権侵害である児童労働、強制労働などにつきましては、関連するお取引先様と協力し、それらの排除に取り組んでいます。これからもサプライチェーンを含めた取り組みを強化します。

サステナブル経営を強化します

当社は、サステナビリティへの対応が当社グループの経営上の重要課題であるとの考えのもと、マテリアリティ全てに役員・本部長の取り組み責任者を定め、私が委員長を務めるサステナビリティ委員会でその進捗を確認し、気候変動対策など重要事項は、取締役会で審議・報告しています。
加えて、役員が意識を高め、取り組みを牽引すべく、2022年度に役員の中長期業績連動報酬を決定する指標として「事業活動CO2排出量」および「従業員エンゲージメント」を追加しました。
また、「ビジョン・ミッション」にもとづき、株主の皆様やお客様をはじめ、全てのステークホルダーのご期待に応えるとともに、当社の持続的な成長と企業価値の向上を実現するために、コンプライアンスを最優先に、経営上の優先課題としてコーポレート・ガバナンスの継続的強化・充実に取り組んでいます。
今後も透明性高く、全社でのサステナブル経営を強化します。

三菱自動車工業株式会社
取締役
代表執行役社長
兼 最高経営責任者
加藤 隆雄