京都工場 ビオトープかいぼりと生物モニタリング調査

2022年05月31日
環境
facebook
X
line

生物多様性への取り組み

当社は、事業における土地利用が地域の生態系に与える影響を把握するため、主要な国内工場において、いきもの調査を実施してきました。
2019年度のいきもの調査で、京都工場はかつて地域に見られた植物や昆虫が局所的に生き残っている場所(レフュージア)であることが分かり、地域の生物多様性の保全のため2020年度にビオトープを「憩いの広場」につくりました。

「憩いの広場」の池のかいぼりによる生物が生育しやすい環境づくり

「憩いの広場」の池には、希少水生植物のオニバスやミズアオイ、昆虫のヤゴ(トンボ類の幼虫)などが生育しています。
池は水流がないため、定期的に人の手を加えないと水循環が行われず、池底に栄養分を多く含む泥が蓄積し、その結果、アオミドロが大量発生し他の植物が育ちにくい環境になります。
2022年3月、池の生態系を守るため社員17名で池の水を抜いて清掃する「かいぼり」を実施しました。ポンプで池の水を抜き、底に溜まった泥を玉網ですくい除去したことで、池底が見えるほど水質が改善しました。かいぼり後には、オニバスとミズアオイの種を植え付けるとともに、水生植物の配置を見直し、池に住む生物が生育しやすい環境づくりを行いました。

かいぼりを行う社員

かいぼりを行う社員

かいぼり後の池

かいぼり後の池

オニバス種の植え付け

オニバス種の植え付け

生物モニタリング調査の実施

かいぼりに合わせて、生物多様性保全の取り組みをサポートする株式会社 地域環境計画の協力のもと、簡易的な生物モニタリング調査を行いました。かいぼりで採取した泥の中から生物を探し、一時的に保護、生物の撮影・同定(生物の種類を決定)の後、池へ戻しました。

生物を保護している社員

生物を保護している社員

調査結果

今回の調査では、「コカゲロウ科(カゲロウの仲間)」と「クロスジギンヤンマ」の2種類の新たな種が確認されました。「クロスジギンヤンマ」については、2019年に行ったいきもの調査の後、ビオトープに水生植物を植栽した結果、池を利用するようになった可能性があると考えています。「コカゲロウ科」は幼虫ではなかなか識別が難しいため今回は「科」で留めていますが、今後種を特定のうえ繁殖を目指します。

「コカゲロウ科」の幼虫

「コカゲロウ科」の幼虫

「クロスジギンヤンマ」の幼虫

今後の取り組み

今回の池のかいぼり、生物モニタリング調査の結果、新たな種が確認されたことから京都工場の「憩いの広場」は生物の生息場所としての機能が高まってきていると思われます。今後もビオトープの定期的な維持管理を行うとともに、フタバアオイなどの京都在来種の植栽場所拡大や新しい植物の追加植栽などを実施し、「憩いの広場」を通じて生物多様性の保全活動に取り組んでいきます。

担当者のコメント

池の様子

池の様子(2022年5月現在)

昨年に引き続き、2回目の実施となったかいぼりでは、昨年水の循環を行えなかったこともあり、前回よりもアオミドロの量が多く除去が大変でした。しかし、たくさんの社員の協力のおかげでスムーズに作業を終わらせることができました。これからもかいぼりなどの生物多様性の取り組みを実施していきますので、たくさんの方に知っていただけたら嬉しいです。また、今年度は希少水生植物の植栽数を増やし、水の循環などアオミドロ対策も実施していく予定ですので、今後の成長が楽しみです。
(総務渉外部 京都総務 三上楓)

facebook
X
line