
第17回大会は、ダカールラリーの歴史上初めてスタート地点がパリから移され、スペイン南部のグラナダを起点とする「グラナダ~ダカール」になった。新しい試みとして12月26日にミラノ(イタリア)とブリュッセル(ベルギー)から、27日にはパリ(フランス)から、そして28日にはバルセロナ(スペイン)からのプレ・スタートが切られ、車検会場のあるグラナダへ集結した。ラリーはグラナダをスタートすると、ジブラルタル海峡を渡ってモロッコからアフリカに上陸。西サハラ地域を経由してモーリタニアへ入り、同国北部最大の都市ズエラで休息日をとる。後半戦は南下してセネガルに至ったあと、さらにギニア北西のラベをかすめてからセネガルのダカールにゴールするという総走行距離7,526km、うち競技区間(SS)5,712kmで行われた。

シトロエンの圧倒的な走破性に対抗すべく、第17回大会に向けて改良型プロトタイプと、シトロエン並みの最低地上高とホイールストロークをもつ新型プロトタイプの2種類の95年モデルを開発した。三菱自動車チームは、新型をサビー、改良型を篠塚とフォントネが走らせる3台体制で参戦。また、前年に引き続き増岡とポンサワンがT2仕様のパジェロ・ショートで出場した。砂漠での走破性を重視した新型プロトタイプは、トレッドとホイールベースを延長し、2mを超えるワイドボディとなった。フロントのタイヤサイズは従来通り18インチだが、リヤはエアボリュームが多く、衝撃吸収性に優れる16インチに変更したのもこの年から。スペアは新型プロトタイプも4本積みだが、ロングホイールベースに対するランプブレークアングルを確保のため、サイドシル間の搭載を止め、4本を全てリヤカウル内に搭載する。一方、4G63型ガソリンターボエンジンはストロークを延長して排気量を2.4Lに拡大。加えてレスポンスの向上のため二次エア導入システムを採用した。4.5mmの吸入口径規制のため最高出力350PSで不変だが、最大トルクは60kg-mとさらに増強された。
ラリーはシトロエンとパジェロの一騎打ちとなる。トップを行くシトロエンのバタネンがクラッシュにより後退すると、シトロエンのラルティーグとパジェロのサビーが激しいトップ争いを繰り広げたが、後半戦のセネガル東部バケルへのステージでサビーがサスペンショントラブルに見舞われて決着。結局サビーは総合2位となり、篠塚が3位、フォントネも4位と続いてダカールにゴールした。また、市販車改造クラスではポンサワンと増岡が1-2フィニッシュを達成し、パジェロは3年連続7度目の同クラス制覇を達成、総合でも9、10位と健闘した。なお、前年まで二輪部門に出場し、今回、パジェロのT1仕様で四輪デビューを果たした女性ドライバー、ユタ・クラインシュミット(ドイツ)は同クラス2位、女性部門1位の成績で見事完走している。