Dakar Rally
- ダカール・ラリー 1985

Dakar Rally
ダカール・ラリー 1985

日本車初の快挙、三菱パジェロ総合優勝

この年のダカールラリーは総勢552台となり、四輪部門だけで362台がエントリーする盛況ぶり。難所のテネレ砂漠を2回横断するルートで過酷さを極め、22日間の総走行距離は10,284km、うち競技区間(SS)7,487kmという設定である。
前回大会で総合優勝を果たしたポルシェ911プロトタイプに象徴されるように、ダカールラリーの高速化はエスカレート。総合優勝を目指す三菱自動車チームも、いよいよプロトタイプ仕様のパジェロを投入することになった。初代のプロトタイプは市販車のラダーフレームとボディの構造を踏襲した市販車改造クラス的な成りたちだが、前軸を前進させてホイールベースを延長し、前後重量バランスを改善した。ボディパネルはカーボンケブラー繊維で強化されたプラスチック製で、前年モデルから200kg以上の軽量化を実現。リヤサスペンションもリーフスプリングから3リンク式に変更した結果、路面追従性と同時に乗り心地を大幅に向上させている。また、岡崎のエンジン研究部門で組まれた2.6Lの4G54型ガソリンターボエンジンは、サイズアップしたターボチャージャーとインタークーラーによって最高出力225PSを発揮。ファイナルギヤ比の変更によって、最高速は185km/hに達した。
この初代パジェロ・プロトタイプを駆るのは、前回大会でパジェロを総合3位に導いたコーワンと、同じくレンジローバーで総合2位となったパトリック・ザニロリ(フランス)の2名。
ラリーは数万人の観客が見送る中、ベルサイユ宮殿前をスタート。パリ郊外でのプロローグランには、なんと7万人の観衆が詰め掛けた。アフリカ上陸後、アルジェリアで本格的なステージが始まると、意外にもポルシェ勢は序盤からトラブルに見舞われて後退すると、ギ・コルスール(ベルギー)の駆るオペル・マンタがトップに立つ。休息日が設けられているニジェールのアガデスに到着するまでに2番手につけたザニロリは、後半戦最初のSSでミスコースとエンジントラブルに見舞われたオペル・マンタに代わって総合首位に躍進。その後も3度のSSトップタイムを記録してリードを拡大すると、終盤までに2番手に浮上したコーワンとともに、日本車初の快挙となるパジェロの総合優勝を1-2フィニッシュで飾った。また、市販車改造クラス、市販車無改造クラス/マラソンクラスでもプライベーターのパジェロが優勝。その高性能ぶりと信頼性を世界にアピールする結果となった。なお、この年には、俳優の夏木陽介が菅原義正とともにパジェロで市販車無改造クラスに初参戦を果たしたが、ゴール900km手前で無念のリタイアとなった。

リザルト

Ranking Driver name Manufacturer Time
1 P. ザニロリ 三菱パジェロ 048:27'00''
2 A. コーワン 三菱パジェロ +00:26'19''
3 P. フォジュルース トヨタ・ランドクルーザー +05:34'32''
4 J-J. ラテ トヨタ・ランドクルーザー +12:12'29''
5 マロー ルノー1351 +07:04'12''
6 マルシ レンジローバーRR200 +13:35'52''
7 テゼグジャン メルセデス280GE +14:44'55''
8 ドゥ・デイ メルセデス280GE +21:19'30''
9 ボステール トヨタ +22:30'20''
10 J. ブシェ メルセデス280GE +23:14'34''
Ranking Driver name Manufacturer Time
1 P. ザニロリ 三菱パジェロ 048:27'00''
2 A. コーワン 三菱パジェロ +00:26'19''
3 P. フォジュルース トヨタ・ランドクルーザー +05:34'32''
4 J-J. ラテ トヨタ・ランドクルーザー +12:12'29''
5 マロー ルノー1351 +07:04'12''
6 マルシ レンジローバーRR200 +13:35'52''
7 テゼグジャン メルセデス280GE +14:44'55''
8 ドゥ・デイ メルセデス280GE +21:19'30''
9 ボステール トヨタ +22:30'20''
10 J. ブシェ メルセデス280GE +23:14'34''

スペック

1985 Pajero

全長 3,930 mm
全幅 1,680 mm
エンジン 4G54 ECI ターボ
エンジン排気量 2,555 cc
最高出力 225 ps
最大トルク 32kg-m
燃料タンク 320L