三菱自動車は2003年10月9日、東京本社で2004年の世界ラリー選手権(WRC)の活動計画を正式に発表した。続いて11月のドイツ「エッセンモーターショー」で新型ワールドラリーカーであるランサーWRC04を世界初披露、11月下旬には実走行テストを開始した。テストは英国ウェールズのグラベルを経てスペインのターマック、さらにスウェーデンでのスノーロードで年末にかけて行い、04年WRC開幕戦のラリーモンテカルロに向けて準備を整えた。
Rd. |
name |
Country |
1 |
Rallye Monte Carlo |
モナコ、フランス |
2 |
Swedish Rally |
スウェーデン |
3 |
Rally Mexico |
メキシコ |
4 |
Rally New Zealand |
ニュージーランド |
5 |
Cyprus Rally |
キプロス |
6 |
Acropolis Rally |
ギリシャ |
7 |
Rally of Turkey |
トルコ |
8 |
Rally Argentina |
アルゼンチン |
9 |
Rally Finland |
フィンランド |
10 |
Rallye Deutschland |
ドイツ |
11 |
Rally Japan |
日本 |
12 |
Rally of Great Britain |
ウェールズ |
13 |
Rally Italia Sardinia |
イタリア |
14 |
Tour de Corse |
フランス |
15 |
Rally Catalunya |
スペイン |
16 |
Rally Australia |
オーストラリア |

ランサーWRC04は、三菱自動車がこれまで世界中のラリーで培ったノウハウと、日本と欧州各拠点の機能を最大限に活用して開発されたが、斬新な車体デザインは、主に英国ラグビーにある三菱自動車のWRC開発拠点MMSP Ltd.によって推進された。フォルナリスは不確定要素の多い複雑な機構を始めから採用せず、段階を踏んで車両を改良し、シーズン後半に向けて競争力を高めていくという方針で、新たな挑戦の年に臨むと語った。搭載されるエンジンは4G63型。ターボチャージャーや吸排気系のマニフォールドなどを大幅に変更した。また内部部品の軽量化を推進し、レスポンスの向上を図っている。電子制御システムはマグネッティ・マレリ社製に変更し、シャシー系の制御ユニットと統合制御することで、信頼性を確保しながら軽量化を図った。ドライバーは、ジル・パニッツィを軸としてクリスチャン・ソルベルグ(フィンランド)、ダニエル・ソラ(スペイン)、ジャンルイジ・ガリ(イタリア)という3組の若手がラリーごとにセカンドカーのステアリングを握る体制とした。
開幕戦モンテカルロではパニッツィが6位に入賞し、WRC復帰初戦でポイントを獲得するなど順調なスタートを切った。しかしその後は度重なるトラブルやアクシデントで苦戦を強いられるラリーが続く。そんな状況下でもパニッツィは諦めない走りを披露、モンテカルロを含め計3度の入賞を果たすなど、チームに多くのデータをもたらした。そしてシーズンも半ばを迎えた7月、三菱自動車は04年WRC活動の一部見直しを発表。第10戦ドイツラリーを最後に、第11戦ラリージャパン以降の04年シーズンの参戦を見送り、ランサーWRCの開発と試験に全力を注ぐことを明らかにした。そして10月末の第15戦ラリー・スペイン(カタルニア)にはテスト参戦を実施。パニッツィとソラは三菱自動車モータースポーツから、ガリは地元のラリーアート・イタリーからそれぞれランサーWRC04で出走した。このラリーでは3台ともに完走を果たし、ソラが6位、ガリが7位でポイントを獲得するなど、車両の着実な進化を鮮明に印象づけるとなった。