AIスーツケースの開発を通じた、視覚障がい者のアクセシビリティと生活の質向上を目指す「一般社団法人次世代移動支援技術開発コンソーシアム」設立のお知らせ

2020年02月06日
企業情報

本ニュースリリースページで提供されるすべての画像等の情報は、報道用または非営利目的でのみ使用いただけます。
商業目的(宣伝、マーケティング、商品化を含む)での使用はできません。
リリースやお知らせに記載しているリンク先は、予告なく閉鎖される場合がありますので、予めご了承ください。

アルプスアルパイン株式会社
オムロン株式会社
清水建設株式会社
日本アイ・ビー・エム株式会社
三菱自動車工業株式会社
アルプスアルパイン株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役社長 CEO:栗山年弘、以下、アルプスアルパイン)、オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長 CEO:山田義仁、以下、オムロン)、清水建設株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:井上和幸、以下、清水建設)、日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山口明夫、以下、日本IBM)、三菱自動車工業株式会社(本社:東京都港区、代表執行役CEO:加藤 隆雄、以下、三菱自動車)の5社は、「一般社団法人次世代移動支援技術開発コンソーシアム(以下、コンソーシアム)」を設立いたしました。本コンソーシアムは、視覚障がい者の実社会におけるアクセシビリティ*1と生活の質向上を目的として、AIを活用した移動やコミュニケーション支援のための統合技術ソリューション「AIスーツケース」の開発と、社会実装に向けた実証実験とデモンストレーションを実施してまいります。コンソーシアムの活動を通じて、障がいのある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら共に生きる「共生社会」の実現を目指します。
 
コンソーシアム設立の背景
近年、高齢化に伴う視力の低下や緑内障をはじめとする目の疾患発症などにより、視覚障がい者は増加しています。日本眼科学会の調査*2によると、日本には推定164万人の視覚障がい者がおり、その内、全盲の視覚障がい者数は18.8万人にのぼるとされています。また、世界では視覚障がい者数が2050年に3倍になるという研究結果*3もあり、爆発的な増加が大きな課題となっています。
 
視覚障がいには様々な困難がありますが、特に街を自由に移動できないことが社会参加の大きなハードルとなっています。例えば、経路を地図で確認して目的地に向かう、人や障害物を避けて通路を歩く、サインや看板を確認してお店に入る、駅やお店の列に並ぶ、知り合いを見つけて挨拶をするといった日常的な行動をとることが非常に困難です。日本では、2006年6月の「バリアフリー新法」、2016年4月の「障害者差別解消法」が施行されて以降、車椅子のための段差の解消やエレベーターの設置などの対策は進んでいます。しかし、視覚的に周囲を確認できない視覚障がい者は、通勤・通学をはじめとした社会生活に欠かせない移動に依然として困難を抱えています。
 
こうした課題を解決するため、本コンソーシアムは、視覚から得られる情報を、最新のAIとロボットの技術を組み合わせて補うことで、視覚障がい者が自立して街を移動することを助ける統合ソリューション「AIスーツケース」の開発に取り組みます。AIスーツケースは、視覚障がい者が日常生活において無理なく携行できることに着目したウェアラブルデバイスとスーツケース型ナビゲーション・ロボットです。本コンソーシアムでは、業種を超えた複数の企業が技術や知見を持ち寄り、AIスーツケースを開発するとともに、実証実験を通して社会実装に必要な要件を特定し、視覚障がい者の移動とコミュニケーションの課題を解決するソリューションの実現を目指します。
 
設立のきっかけとなったのはIBMフェロー浅川智恵子氏の米国カーネギーメロン大学(以下、CMU)における視覚障がい者のためのスーツケース型誘導ロボット CaBotの研究です。本コンソーシアムはCMUをはじめとした各大学や関連する視覚障がい者支援団体と協力をして新しいアクセシビリティ技術の開発を進めます。*4
 
*1 アクセシビリティ:情報やサービスへのアクセスのしやすさのこと
*2 日本眼科医会研究班報告2006 ~ 2008「日本における視覚障害の社会的コスト」より
*3ランセット・グローバル・ヘルス誌 2017年8月掲載の
「Magnitude, temporal trends, and projections of the global prevalence of blindness  and distance and near vision impairment: a systematic review and meta-analysis」より
*4 Guerreiro, João, Daisuke Sato, Saki Asakawa, Huixu Dong, Kris M. Kitani, and Chieko Asakawa. “CaBot: Designing and Evaluating an Autonomous Navigation Robot for Blind People.” In The 21st International ACM SIGACCESS Conference on Computers and Accessibility, pp. 68-82. 2019.
 
コンソーシアム概略
名称
一般社団法人次世代移動支援技術開発コンソーシアム
英文名:Consortium for Advanced Assistive Mobility Platform
略称:CAAMP
所在地
東京都中央区
設立日
2019年12月20日
目的
視覚障がい者の実社会におけるアクセシビリティとQOL*5向上に資する、
AIを活用した自立移動支援のための統合ソリューション「AIスーツケース」の開発および、
社会実装に向けた実証実験の実施
主な活動
内容
  • 視覚障がい者が日常生活において無理なく携行できる小型のナビゲーション・ロボットの開発
  • 必要となるハードウェア(駆動系機構、バッテリー、カメラと画像認識センサー、触覚センサー、
    パッケージング、等)および、ソフトウェア(AI、位置情報処理、システム制御、等)の
    要素技術の統合(システム・インテグレーション)
  • AIスーツケースのプロトタイプを用いた実証実験
活動期間
2019年12月1日~2022年11月30日(予定)
参加企業と
役割
5社(2020年2月現在、50音順)
  • アルプスアルパイン:触覚インターフェースに関する知見に基づくアドバイス・技術の提供
  • オムロン(理事):画像認識、および各種センサーに関する知見に基づくアドバイス・技術の提供
  • 清水建設(理事):建築計画、屋内外ナビゲーション、ロボティクス技術に関する知見に基づくアドバイス・
    技術の提供および、当法人の運営に必要な事務局・経理機能支援
  • 日本IBM(代表理事):AI、アクセシビリティ、屋内外ナビゲーション、
    コンピューター・ビジョン、クラウド・コンピューティングに関する知見に基づく
    アドバイス・技術の提供および、当法人の運営に必要な事務局業務
  • 三菱自動車:自動車開発やモビリティ全般に関する知見に基づくアドバイス・技術の提供
*5 QOL:「quality of life」の略。人が生きる上での満足度をあらわす指標のひとつ
 
AIスーツケースの機能
 
(ご参考)AIスーツケースの構成要素
 
facebook
X
line