第27回大会はスペイン第2の都市、バルセロナがスタート地となる。12月31日にバルセロナ市周辺でプロローグランを行った後、ジブラルタル海峡を渡ってモロッコの大西洋に面した港町ラバトからアフリカに上陸し、同国から本格的なスペシャルステージが始まった。今回も舞台の中心となるのはモーリタニアで、ループ1ヶ所を含む7ステージの設定。アタールで休息日を採ったあとは、マリを経由してセネガルのダカールに到着。翌日に最終SSとゴールのセレモニーを行うという比較的コンパクトな行程で、総走行距離9,039km、うち競技区間は4,913kmであった。

三菱自動車チームは2005年大会に向け、改良を加えたスーパープロダクション仕様のパジェロエボリューション（MPR11）を投入した。全長はそのままにフロントオーバーハングを短縮してホイールベースを延長。エンジンは新設計の直立吸気ポートを備えたシリンダーヘッドを持ち、クランクシャフト、コンロッド、ピストンなどムービングパーツの軽量化によりフリクションを低減。エキゾーストパイプ径を細くするなど低回転重視の出力特性として低速トルクの増強を図った。また、前輪が前進したことに伴ってフロントミッドシップとなり前後重量配分を最適化し、ハンドリング性能をいちだんと向上させた。
チーム体制も大幅に強化。ドライバーは増岡とペテランセルに、元アルペンスキーの王者でダカールラリー上位入賞経験のあるリュック・アルファン（フランス）、前回大会の二輪部門覇者であるホアン・ナニ・ロマ（スペイン）が新加入。この4名がパジェロエボリューションを駆り、アシスタント役を務めるマイヤーがL200のスーパープロダクション仕様をドライブするという強力な布陣である。

アフリカステージの序盤は、風邪で精彩を欠くペテランセルが3度のパンクで後退すると、増岡は道の窪みでダイブして右前輪サスペンションを破損して大きく後退する。その間、コリン・マクレー（英国）とジニール・ドゥビリエ（南アフリカ）の日産ピックアップが1-2体制を築くが、復調したペテランセルが今大会最大の難所となった660kmのロングSSでトップタイムを叩き出して総合首位に浮上。ライバルの脱落もあって、アルファンとの1-2体制となる。ペテランセルは前半戦最終日でエンジントラブルに見舞われるが、幸いチームに帯同していた三菱自動車のエンジニアによって修理され、後半戦も快走して首位をキープ。ペテランセルはアルファンとの1-2フィニッシュで自身2連勝を飾り、三菱自動車は史上初のダカールラリー5連覇で通算10勝目を挙げた。増岡は後半戦初日にペテランセルと同じエンジントラブルが発生して無念のリタイア。マイヤーもメカニカルトラブルで戦列を去ったが、四輪部門に初挑戦となるロマは総合6位で無事完走した。