第26回大会は、フランス中部のクレルモンフェランをスタート地に選び、ダカールをゴールとして開催された。通過国はフランス、スペイン、モロッコ、モーリタニア、マリ、ブルキナファソ、セネガルの７カ国。休息日はブルキナファソのボボジウラッソで、前半戦と後半戦の２回、モーリタニアのティジクジャを通過するなど、競技の中心は引き続きモーリタニアの砂漠に据えられた。総走行距離は11,153km、うち競技区間（SS）は4,625kmとSSの比率はやや低めだった。

三菱自動車チームはパジェロエボリューション・スーパープロダクション仕様（MPR10）の細部にわたって大規模な改良を施し、第26回大会に臨んだ。まず、エンジンの排気量を3.5Lから4.0Lに拡大。リストリクター径32mmで最高出力270PSは不変ながら、最大トルクは36kg-mから43kg-mへと大幅に増強した。また、シャシー面では新たに前後のスタビライザーを油圧で連結するシステムを採用して旋回時の安定性を向上。このほか、ラジエーター形状やサイズの変更、エアダクトと配管類のレイアウト変更を行い、フロントグリルもメッシュタイプとして冷却性能を高めた。サスペンションもスプリングレートを見直し、ショックアブソーバーの冷却性の向上させたほか、ブレーキローターの大径化により剛性と耐フェード性を高めている。チーム体制は、増岡、ペテランセル、ビアシオンがパジェロエボリューション、マイヤーがパジェロのスーパープロダクション仕様で出場する4台体制であった。

この年は、シュレッサー・バギー、日産、フォルクスワーゲン、ＢＭＷとの混戦模様が予想されたが、アフリカステージが始まるとやはり安定した強さを発揮したのは三菱自動車チームだった。序盤戦でトップを行くのはパジェロエボリューションのペテランセル。これに僅差で続いていた増岡はモロッコ最後のSSで逆転して首位に立つが、増岡はモーリタニアの砂丘SSで一瞬のシフトミスから１速ギアを失って1時間30分のタイムロスを喫してしまう。その後、安全上の理由から2つのSSがキャンセルされたこともあり、追い上げるものの1時間4分差で前半戦を折り返すこととなった。３位にはシュレッサー・バギーがつけるが、ペテランセルからのタイム差は2時間22分とすでに大きい。
後半戦に入ったペテランセルはリスクを犯さず安定したペースをキープ。増岡はSSでトップタイムを記録して追い上げるも逆転はならず、49分24秒差の2位でダカールにゴール。二輪部門で前人未到６回の優勝歴を持つペテランセルは、四輪部門で念願の初優勝。オリオールに続く2人目の二輪・四輪両部門覇者となった。三菱自動車チームは4年連続で通算9勝目となる総合優勝を、パジェロエボリューションの1-2フィニッシュで飾った。また、ビアシオンは前半戦で転倒してリタイアしていたが、マイヤーはサポート役としてチームに貢献しながらパジェロ・スーパープロダクション仕様を５位に導いた。