2000年のミレニアムという記念すべき年に相応しく、第22回大会はダカールラリー史上では初めてアフリカ大陸を西から東へ横断、セネガルのダカールからエジプトのカイロに至る新ルートで開催された。フランスのパリ市内でプレ・スタートのセレモニーを行ったあと、車両はルアーブル港からフェリーでダカールに運ばれ、ダカールをスタート。マリ、ブルキナファソ、ニジェールと進んでアガデスで休息日をとったあと、リビアを経由してエジプトに入り、首都カイロのギザのピラミッド前にゴールするという18日間、通過7カ国、総走行距離7,863km、うち競技区間（SS）5,012kmというコースだ。

三菱自動車チームはFIAクロスカントリーラリー・ワールドカップにシリーズ参戦して熟成を図る一方、1999年9月にフルモデルチェンジした新型パジェロをベースとするパジェロ・T2仕様を新開発。ラダーフレームを廃した軽量なモノコック構造のボディを持ち、ホイールベースは延長され、四輪独立懸架式サスペンションを採用している。低重心化、高剛性化と同時にホイールベースが長くなったことで高速安定性が向上。また、燃料タンクの増量やスペアタイヤの４本積みを実現している。エンジンは3.5Lの6G74型MIVECガソリンエンジンで変わらず。６速ミッションを組み合わせたフルタイム4WDである。この年のチーム体制は5台のパジェロと1台のストラーダで、パジェロ5台中の3台が新型のT2仕様となり、篠塚、フォントネ、クラインシュミットに託される。残り2台はパジェロエボリューションの改良型T2仕様となり、増岡とプリエトがドライブした。また、スーザがL200のT2仕様で出場した。

総勢400台以上がダカールをスタート。サバンナ地帯のブッシュを抜けるツイスティなコースを舞台に、パジェロの篠塚が序盤でトップに浮上して首位をキープ。シュレッサー・バギーを駆るシュレッサーがじわじわと順位を上げて２位につける。ニジェールに入国して最初のビバーク地であるニアメに到着したところで、突然のテロ襲撃情報によりラリーは中断。急遽ニジェール国内でのSSを全てキャンセルし、全競技車両を空輸してリビアのワウエルケビルから再開することとなった。後半戦に入るとフラットな高速ステージを利してシュレッサーが逆転して首位に浮上。3位に後退した篠塚は猛チャージをかけるが、篠塚を含む4台が砂丘から大ジャンプを喫してクラッシュ。篠塚、スーザ、プリエトと日産のグレゴリー・ド・メビウス（ベルギー）が戦列を去り、後続とのタイム差を広げたシュレッサーが逃げ切って初優勝。三菱自動車とラリーアートの技術協力を受けてSBMが製作したメガデザート・T3仕様を駆ったペテランセルが2位。三菱勢ではフォントネ3位、クラインシュミット5位、増岡6位となった。なお、市販車無改造クラスではコルバーグが２位入賞を果たしている。