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Stop


いくつもの試練があった。
困難があった。
ただ平坦な道を進むだけだったら、
どれほど楽だっただろう。
だけど、
どれほど悦びのない日々だったのだろう。
まだ見たことがない景色がある限り、
どれだけの険しい道でも、
どれほどの高い山であろうとも、
前に進むことをやめさえしなければ
冒険という名の旅は、
決して終わることはないだろう。
なぜなら我々は、
冒険の先にある悦びに気づいているから。
冒険が、好きだ。
冒険する人が、好きだ。

「冒険する人が好きだ」篇 フルVer.

TRITON×トレイルランナー
妻は、呆れ気味に笑った。
トレイルランをやってみようと思う。
そう切り出すと、妻からはごもっともなリアクションが返ってきた。
「なんでそんなことやるの?」
「その…やったことがないから」
とっさに口から出た言葉は、誰が見ても的外れなものだった。
まごつく私をよそ目に、彼女は呆れ気味に笑うと、
意外にもすんなり送り出してくれた。

OUTLANDER×写真家
雨上がりの空が、
いちばん美しいんだよね。
天気予報は見事に外れた。
激しい雨粒が、フロントガラスを打ちつけている。
ハンドルを握る手に力を込めると、
誰もいない車内で思わず、微笑んだ。
この急な大雨は、私にはむしろ好都合だった。

DELICA D:5×旧友
クルマはときどき、
タイムマシンになる。
久しぶりに集まらないか?
そのひと言で、ボート部の仲間が再会した。
会社を立ち上げたヤツ、
すっかり父親顔のヤツ、
趣味に生きているヤツ…
しばらくの間に、仲間たちの顔つきは
ずいぶんと大人じみていた。
いやぁ、変わったな。胸の中でつぶやいた。

DELICA MINI×母と野球少年
試合はもう、はじまっていた。
グラウンドへ向かう道中、
普段はふざけてばかりの息子が、
めずらしく無口だった。
きょうは彼にとっての大一番。
といっても公式戦ではなく、
同じ地区のチームとのよくある練習試合だ。
万年控えの息子が、
初めてスタメンで出ることになっていた。