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CROSS TALK 02
TALK about TECHNOLOGY

三菱自動車のものづくりは
中心に人がいる。

日本初の量産車、日本初の4WD車、世界初の量産EVなど、常に時代の先頭を走り続ける三菱自動車工業。新しい道を切り拓いていくDNAは創業以来、脈々と受け継がれている。今回は、「三菱のものづくり」をテーマに、EVの開発に携わる3名の技術者に集まってもらい、三菱自動車のEV・PHEVの先進性や技術へのこだわりについて教えてもらいました。

MEMBER
写真左 開発 EV・パワートレイン
適合開発部杉本 喬紀
2004年入社。入社後、操縦安定性・乗り心地の試験部門に3年間在籍。その後、現部署に異動し、EVのエンジンとモーターに指示を出すソフトウェアの開発に携わる。
写真中央 開発 EV・パワートレイン
制御システム開発部蒲地 誠
2003年入社。以来、一貫して三菱のEV領域に携わる。現在は、電動車向け統合制御コントローラの量産設計(ハード/ソフト、通信、故障診断)責任者。
写真右 開発 EV要素開発部堀居 直幸 2005年入社。最初の2年間はエンジン装備の設計に携わり、3年目からEVの領域へ。現在は、電動車向け駆動用電池パックの構造部品設計を担当している。

EV開発における過去と現在

今回はEV領域で活躍する3名が集結したこともあり、まずはEV開発における三菱自動車の過去と現在について教えてもらいました。

開発 蒲地

正直、少し早過ぎましたかね(笑)。世界初の量産EVである「i-MiEV(アイ・ミーブ)の発売開始が2009年ですが、私が入社した2003年はまだ電子研究部というところで試作車をつくって、データを取っているような状況でした。それが、2005年に「よし、量産を目指そう!」となって、そこから4年で発売までたどり着くことになるのですが、当時は世の中がまだ追いついていなかったですね。

開発 杉本

私は2007年から関わりましたが、i-MiEVの母体となったガソリン軽自動車「i」と比べても違和感がなく、滑らかな走りだったことに驚いたことをよく覚えています。あと、技術者として印象に残っているのは、試験中に漏電やモーターの停止など、EV特有の不具合が何度も起こり、その対応には苦労しました。

開発 堀居

何をするにしても、社内外含めて前例がなかったですからね。私は当時、電池パックの冷却システム設計を担当していましたが、自分で設計して、その評価も自分で決めていました。大変でしたが、技術者としては面白かったですね。使えそうな技術を探し出し、わからないところは他部署に聞きに行き、教えてもらいながら手探りで開発していきました。

開発 蒲地

さらに、当社のEV開発の主流がPHEVに移行したことにより、開発はより複雑になるし、組織の運営も大変になっていきましたよね。モーターや電池など、EVに特化した部品もあれば、ブレーキや足回りなど、ガソリン車と共有して開発している部品もある。最終的には私たちEVの開発チームが取りまとめていくのですが、意思疎通を図るのが難しかったですね。

開発 堀居

「電池が、ガソリンの熱でダメになる」といった話もこれまでのガソリン車の開発しか携わっていない人にはよくわからない話ですからね。日頃から丁寧に内容を説明するなどのコミュニケーションを心がけています。

技術者として成長できる環境

次に、三菱自動車で技術者として働く魅力について質問しました。3名の技術者が口を揃えて話してくれたのは、一人の仕事の幅広さと開発拠点のコンパクトさ。

開発 蒲地

一人が担当する領域の広さは、当社ならではだと思いますね。他社はそれぞれの領域ごとに担当が決まっていますが、三菱自動車はメインの担当領域はあるものの、壁にぶつかったら、みんなで解決しようとする風土があります。結果、様々な知識や技術が身についていきますよね。

開発 堀居

それは、すごく感じます。私が担当していた電池パックの冷却システム設計でも、部品だけでなく、システムのことまで全部見ることができますからね。全体を見ることで気づくことも多いですし、モチベーションも高まります。

開発 蒲地

岡崎の開発拠点にはテストコースがあり、自分が設計した制御プログラムをすぐ確認できたり、他社のクルマもすぐに試乗できたりする環境がある点も良いところだと思いますね。また、同じ敷地内に製作所もあり、自身が開発に携わったクルマが実際に生産される現場を見ることができるため、完成車メーカーのものづくりの醍醐味を感じることができます。

開発 杉本

たしかに。開発拠点のコンパクトさは、他社にはない大きな魅力の一つですね。自分でつくったものを自分で試すことで気づくこともありますし、生産ラインも見ることができるので、つくる工程にも協力することができます。

若手社員に任せる風土

次第に3名の話の内容は、若手の育成方法へと移っていきました。「自分たちが育ててもらったように、チャンスを与えていきたい」という思いが言葉の端々から感じられました。

開発 堀居

今になって思うのですが、自分たちが若かった頃、経験も浅いのに任せてもらえたんだなあ、と若手を育成する立場になり感じています。正直、自分でやってしまった方が速い仕事がたくさんありますよね。でも、それをどんなに時間がかかっても、若手に任せる。この風土は守っていきたいですよね。

開発 蒲地

基本的には若手社員に任せるようにしています。開発部門は社内だけでも購買や試験、生産など、様々な部門の人と関わりますし、工場とのやりとりやサプライヤーとの交渉、協業といった場面も多い。そうした仕事をできるだけ、若いうちからやってもらうようにしていますね。あと最近は海外で生産することも増えたため、海外とのやりとりも任せています。

開発 杉本

私のところでも、たとえば、三菱自動車以外のクルマに乗って、電池パックに関するデータを収集する仕事などは、その調査方法の立案から任せるようにしています。アイデアを思いついたら、自分で調べながら特許を取りつつ、形にしていってほしいですね。

開発 堀居

ここは、ある程度、自由に何でもやれる環境だと思いますからね。遠慮せず、思い切りやってほしいと思います。わからないことがあれば、「これはこの人に聞くといいよ」という先輩たちがそろっているので、どんどん聞きながら進めてほしいですね。そして、その風土をさらに下の世代へと続けてほしいですね。

技術者の考える三菱自動車らしさ

最後に、3名の技術者に「三菱自動車らしさ」について聞きました。「試作が得意」「真面目」「お客様ファースト」など、様々なキーワードが飛び出しました。

開発 蒲地

三菱自動車らしさと言われて最初に思い浮かんだ言葉は、「試作が得意」ですね。当社にはボトムアップの文化があり、EVもじつは試作車をコソコソとつくっている技術者がいて、その試作車に会社の幹部が乗って「これ、いいじゃない!」というところから量産化が決まったんです。試作が得意だし、それを受け入れる懐の大きさが、三菱自動車らしさだと思いますね。

開発 堀居

いっぱいつくって、いっぱい失敗しますからね(笑)。でも、技術者としてはそれだけたくさん挑戦できる環境ってなかなかないと思いますし、その分、知識も経験値もどんどん増えていくので魅力的ですよね。

開発 杉本

私の担当するパワートレインの領域でも、「常に進化していこう」という姿勢がありますね。「新しいクルマには、新しいシステムを」と考えることが多く、なかなか前の開発の微修正で終わるような仕事はないですね(笑)。

開発 堀居

あと、三菱自動車の人たちは「真面目」ですよね。どんな時も真面目に仕事に取り組むし、もしも問題が起きても逃げない。正面から問題と向き合う真面目な人が多いと思います。

開発 蒲地

三菱自動車は、「人がクルマをつくっている」というのを感じられる職場ですよね。コミュニケーションが得意な人が多い。一人ひとりがはみ出しながら、人と人の間ですり合わせ、開発を進めていきます。人間味があるというか、イレギュラーが起こっても、誰かがキャッチしてくれる安心感はありますね。

開発 杉本

それから、やっぱり「お客様ファースト」であったり、「品質」というのも大切な言葉ですよね。

開発 堀居

自動車の技術者として安全や品質を忘れることはありませんからね。技術の評価を行うレビューの時でも、「ここを間違えると、お客様にどういう影響が出るの?」といった話は必ず出ますし、常に意識する部分ですね。

開発 蒲地

最近は新型コロナの感染拡大の影響もあり、現地の試乗会に参加する機会は少なくなっていますが、毎回、報告会には必ず参加し、「実際に乗ったお客様はどんなことを求めているのか」といった生の声を聞きますし、その声をメンバーにも共有するようにしていますね。

開発 杉本

発売前に加えて、発売後のお客様の声に耳を傾けることも大切ですよね。当社は技術者であっても現場に行くことを大切にしていますし、きっと、うちの会社に入ったら、三菱のクルマは機械ではなく、「人がつくっている」と実感できると思います。