2014
- パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム

2014年
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム

2014年 パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム

三菱自動車は3ヶ年計画の最終年となるパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(以下パイクスピーク)の2014年大会に、さらなる進化を遂げたミーブ・エボリューションⅢの2台体制で参戦した。ドライバーはこれまで2大会連続で電気自動車クラス2位を獲得した増岡浩(監督兼任)と二輪でパイクスピークの豊富な経験を持ち、前年には初の四輪で3位入賞を果たしたグレッグ・トレーシー(米国)を引き続き起用。マシンは参戦以来、年々進化を遂げている。モーターやバッテリーは量産部品をベースとして、12年に3モーター/240kWでスタート。13年は4モーター/400kW、そして14年には4モーター/450kWへとパワーアップした。また、これまでのデータをもとに、動力性能の向上に相応しいエアロダイナミクスや四輪制御技術など、操縦安定性を向上させるために磨き上げられていった。
練習走行初日は約20kmのコースを3分割したうちのアッパーセクションを走行し、電気自動車改造クラスで1・2位タイムを記録。2日目のミドルセクション、3日目のボトムセクションとも1・2位タイムを守り、29日の決勝に向けて万全の仕上がりを見せた。迎えた決勝は晴天。降雨に振り回された昨年の鬱憤を晴らすかのように、猛然とアタックするトレーシーと増岡。山頂は4301mと富士山よりも高く空気が薄いため、エンジン搭載車は出力が低下するが、電気自動車はその影響を受けずに走りきることが可能。また滑りやすい路面では車両運動統合制御システムS-AWCがマシンのスライドを防ぎ、アタックするドライバーに安心感をもたらした。トレーシーは昨年の自らの記録を大幅に短縮する9分8秒188を記録し、電気自動車改造クラスの頂点に輝いた。2位には9分12秒204の増岡が入り、練習走行から決勝に至る大会期間を通じ、ミーブ・エボリューションⅢが1-2フィニッシュという完璧なレース運びであった。なお、トレーシーの記録は総合優勝したガソリン車の2.5秒差に迫っており、電気自動車の可能性を感じさせる結果であった。
三菱自動車は電気自動車で3年間にわたってパイクスピークを戦い、最先端のレーシングマシンを開発する過程で非常に高度な技術を学ぶことができた。今回はモータードライブとS-AWCを融合させた“e-EVOLUTION”の先行開発という使命も担っており、チームのテクニカルディレクター及びメカニックの主要メンバーを三菱自動車開発本部のエンジニアで構成した。電気自動車やプラグインハイブリッドの技術開発において、パイクスピーク参戦が果たした役割はとても大きいと言えるだろう。

スペック

MiEV Evolution Ⅲ

全長 5190 mm
全幅 2000 mm
全高 1485 mm
駆動方式 4モーター電動4WD
モーター(明電舎製) 搭載数(基) 4(フロント2基、リヤ2基)
最大出力 450(112.5kW×4基)
バッテリー(LEJ製) 総電力量(kWh) 50
シャーシ スチール製パイプフレーム
カウル カーボン製
サスペンション フロント ダブルウィッシュボーン
リヤ ダブルウィッシュボーン
タイヤ(ダンロップ製) 330/680R18
制御系(dSPACE製) 量産i-MiEV用ECU+MicroAutoBoxⅡ