Dakar Rally
- ダカール・ラリー 1993

Dakar Rally
ダカール・ラリー 1993

初の2年連続優勝、通算3勝目

2年ぶりにゴール地をダカールに戻したダカールラリーだが、1992年はアフリカ大陸を縦断するダカールラリーのほか、ユーラシア大陸を横断するパリ~北京ラリーといった過酷なイベントが続いたため、参加台数は159台と大幅に減少した。この年のコースはパリのトロカデロ広場をスタート後、初めてモロッコ北部の港町タンジェからアフリカに上陸。その後、5年ぶりにアルジェリアに入り、南部のアドラーで休息日のあとモーリタニアを抜けてセネガルのダカールに至る。総走行距離7,490kmで、競技区間(SS)は4,818kmと短めだが、過去最長801kmのSSもある過酷な内容となっていた。

ラリーのさらなる高速化に対応すべく、基本スペックを全面的に見直して開発された先行研究車の岡崎プロト3号車は91年9月に完成。優れた空力性能と低いドライビングポジションによる乗りやすさなどメリットが確認される一方、軽量化に起因して信頼耐久性の不足も指摘された。SBMでは92年モデルをベースにホイールベースとトレッドを延長し、16インチから18インチにタイヤを大径化して操縦安定性と同時に走破性を高めた試作車を別途製作し、両車の比較の結果、信頼性の高いSBMの試作車をベースとして93年モデルを開発することとなった。6速トランスミッションのトランスファーには、新たにハイ・ロー切り替え機構を追加。また、エンジン出力も新世代ECUの採用により20PS高め340PSとなった。この年の三菱自動車チームからは、篠塚、ウェーバー、サビー、フォントネがパジェロ・プロトタイプの93年モデルで出場。また、増岡とポンサワンが2Lの4G63型ガソリンターボエンジンを搭載するT2仕様のパジェロ・ショートで出場した。

ラリーは序盤から4台のパジェロと5台のシトロエンZXが首位を争う展開となったが、勝負の分かれ目は大会中2番目に長い、アルジェリア中部のオアシス都市エルゴレアへの791kmのSSだった。無数の尖った岩が転がる荒れた路面が延々と続き、多くの車両がパンクによりスペアタイヤを使い果たしてストップ。この区間をパンクしないよう慎重に走りきったパジェロのサビーは、2位につけるシトロエンのラルティーグに1時間26分あまりの大量リードをつけて総合首位に浮上。以降、そのポジションを譲ることなく走りきり、三菱自動車に初の2年連続優勝、通算3勝目をもたらした。前回大会で2位のウェーバーは4位、パンクのあとクラッチトラブルやスタックと不運続きだった篠塚は5位、フォントネが12位となってパジェロ・プロトタイプは全車完走。パジェロ・T2仕様は増岡がミッショントラブルによりリタイアしたが、ポンサワンが総合15位で前回大会に続いて市販車改造クラス優勝を果たした。

リザルト

Ranking Driver name Manufacturer Time
1 B・サビー 三菱パジェロ 24:56'02''
2 P・ラルティーグ シトロエンZX +01:09'45"
3 H・オリオール シトロエンZX +04:02'08"
4 E・ウェーバー 三菱パジェロ +06:14'38"
5 篠塚建次郎 三菱パジェロ +07:02'51"
6 S・セルビア ラダ・サマラ +08:25'24"
7 A・アンブロジーノ シトロエンZX +11:10'10"
8 A・バタネン シトロエンZX +11:42'58"
9 G・ビスマラ ランドローバー +15:19'47"
10 F・ペルリーニ ペルリーニ105F +16:32'53"
Ranking Driver name Manufacturer Time
1 B・サビー 三菱パジェロ 24:56'02''
2 P・ラルティーグ シトロエンZX +01:09'45"
3 H・オリオール シトロエンZX +04:02'08"
4 E・ウェーバー 三菱パジェロ +06:14'38"
5 篠塚建次郎 三菱パジェロ +07:02'51"
6 S・セルビア ラダ・サマラ +08:25'24"
7 A・アンブロジーノ シトロエンZX +11:10'10"
8 A・バタネン シトロエンZX +11:42'58"
9 G・ビスマラ ランドローバー +15:19'47"
10 F・ペルリーニ ペルリーニ105F +16:32'53"

スペック

1993 Pajero Prototype

全長 4,140 mm
全幅 1,910 mm
エンジン 4G6 4気筒 DOHC ターボ
エンジン排気量 2,199 cc
最高出力 340 ps
最大トルク 45.0 kg-m
燃料タンク 400 L