特徴[Ⅰ]
– モータードライブの心地よさを追求 -
Plug-in Hybrid EVが実現するモータードライブは、単に駆動源をエンジンからモーターに置き換えたというのではありません。三菱自動車はモーターのトルク特性から、車両速度、力強さ、滑らかさを分析し、ドライバーや同乗者にモータードライブの心地よさを提供します。
モーターは、目標加速度に到達する時間を短くするだけではなく、トルク特性を活かしてフラットな加速度を継続させることができます。加速度の維持により、予期せぬ違和感を減らし、心地よいモータードライブを実現します。この効果はアクセル全開時だけでなく、市街地走行でのアクセルワークでも同じように得られ、どんな走行でも、小気味よく、力強い滑らかな走りを実現することができます。三菱自動車のPlug-in Hybrid EVは、環境性能だけでなく、EVらしい快適でストレスフリーな走りにもこだわりました。
特徴[Ⅱ]
– EVらしさを追求し、手に入れた静けさ -
エンジン静粛性を求めるにあたって、 2.4Lエンジンを採用し、ハイブリッド走行時の静粛性を向上させ、エンジンがかかってもドライバーや同乗者にエンジンがかかったことに気づかせない工夫をしました。
その際にこだわったポイントが2つあります。
エンジン音が気になるのは、アクセル開度が少ないにも関わらず、エンジン音が大きい場合です。
また、車速の増加率に対し、エンジン回転数の増加率が高い時、ドライバーや同乗者にとってエンジン音が気になります。
対策として、エンジンの排気量を上げ低速域のトルクを増加させることで、エンジン回転数を抑え車速にシンクロさせました。
車速とエンジン回転数をシンクロさせることに加え、エンジン音自体の低減を図りました。
エンジンの排気量を上げエンジン回転数を抑えたことにより、エンジン音を走行音よりも小さく抑えることができました。
メインマフラーにマスダンパーを追加することでマフラーからの放射音を抑制し、後席車内音の300Hz領域において、最大で約7dB低減しました。
触媒コンバーターカバーを二層化することで排気管からの放射音を低減しました。エンジンルーム内の音を最大で約5dB低減しました。
吸気放射音の対策としてレゾネーター(共振器)を追加し、レゾネーターの周波数、容量を最適化するチューニングの実施しました。また、エアクリーナーの形状を変更し、面剛性を向上させました。
特徴[Ⅲ]
– 日常から非日常まで -
満充電の状態で一般家庭の最大約1日分の電力量です。三菱自動車のPlug-in Hybrid EVは走る蓄電池として利用することができます。
三菱自動車のPlug-in Hybrid EVは、CHAdeMO対応の急速充電口を装備しています。CHAdeMOの大きな特徴にV2H(Vehicle to Home)があり、車の持つ電力を外に向かって供給することが可能です。車の新しい用途として使うことができます。
クルマの概念を変える1500Wの大電力なので、スマートフォンの充電はもちろん、炊飯器やヘアドライヤーなど消費電力の大きい家電もどこまでもそのまま自由に使えます。
クルマに残された電力量が少なくなっても、ガソリンさえあればエンジンで発電し、蓄えた電力で給電の継続も可能です。
V2H機器を経由して、駆動用バッテリーの電力を住宅へ供給すれば、満充電の状態で一般家庭の最大約1日分※、エンジンでの発電※も組み合わせれば、ガソリン満タンで最大約10日分※の電力を供給が可能。災害時の非常用電源として使用することもできます。
※ 供給可能電力量は当社試算による(一般家庭での一日当たりの使用電力量を約10kWh / 日として算出、V2H機器等の変換効率は含みません)。住宅との接続にはV2H機器が必要です。V2H機器に接続している場合、エンジン始動による発電はできません。エンジンでの発電を行う場合は、V2H機器との接続を終了してください。
特徴[Ⅰ]
– 2つのモーターによって成し得た自由自在の前後駆動力配分制御 -
Twin motor 4WD(図1)は、前輪と後輪にそれぞれモーターを搭載し、前後の駆動力配分を自由自在に行うことができるシステムです。
前後独立して駆動することによって、走行状況に左右されず、前後の駆動力を最大 100:0 ~ 0:100 の配分制御ができることが特徴です。
従来の4WD車では前後駆動力配分を制御するデバイスとして、デファレンシャルギヤやクラッチを採用してきました。これらのデバイスは構造上の制約とプロペラシャフトによる物理的な拘束により、状況に見合う前後駆動力配分の制御ができない場合もあり、理想の安定性を常に発揮することができませんでした (図2, 図3) 。
今回、ECLIPSE CROSS PHEV に搭載したTwin motor 4WDは、プロペラシャフトによる物理的な拘束から解放されたこと、そして電動モーターの高応答・高精度・高自由度の特徴によって、前後駆動力配分の “最適解” を実現しました。
前後駆動力配分が自由に制御可能であるからこそ、駆動力配分の目標値設定が最も重要となります。
この目標値は三菱自動車が1980年代に、4WD車における前輪と後輪の駆動力を最適に配分し、クルマが本来持っている運動性能のポテンシャルを最大限に発揮できる “理想前後制駆動力配分の理論値” を確立していたものです。
そして “理論値=目標値” とした前後制駆動力配分の”最適解“を実現したのが、ECLIPSE CROSS PHEV に搭載したTwin motor 4WDなのです。
右図4が、理論値を示す ”理想前後制駆動力配分線図“ であり、三菱自動車ではこの線図を、
”Dynamic Square“ と称しています。
理想前後制駆動力配分は,車両諸元とタイヤ-路面間の摩擦係数から決まり、理論に基づき自動車の4輪モデルを用いた準定常解析によって、ある路面μ条件下の同一前後加速度条件で得られる最大横加速度から求められます。
曲線A:路面μが1の時の理想前後制駆動力配分値、曲線B:全路面μで最大の前後加速度が発揮できる前後制駆動力配分値であり、曲線A~Bの範囲内で常に制御することで、トラクション性能と旋回性能をバランスよく向上させます。
前後駆動力配分制御は、基本配分制御とフィードバック制御で構成され、基本配分制御は,ドライバーのアクセル操作に基づき決定される総駆動トルク T を前後輪へそれぞれ配分します。
フィードバック制御は,前後輪間の回転数差を目標に収束させる目標差回転制御とヨーレイトフィードバックで構成され、これらの出力は前後輪へそれぞれ配分された指示トルクを補正しています。
理想前後駆動力配分は路面μが異なると、同じ前後加速度で走行してもその配分比は異なります。
そのため理想前後駆動力配分を実現するためには路面μ検出が必要となりますが、既存の車載センサーを用いた路面μの即時検出は困難であるため、前後加速度と横加速度を基本配分制御に用いました。各路面μ条件における横加速度毎の理想前後駆動力配分を求め、それらを同一横加速度毎に結び直すと図6が得られます。図7が前後加速度と横加速度を入力し配分比を求める前輪基本配分比演算マップで、前後加速度もしくは横加速度の増加に伴い、配分比は後輪寄りとなります。
前後加速度、横加速度、ヨーレイト
圧雪路
定常旋回中にハンドルを保持したまま加速
特徴[Ⅱ]
– SUVの大きさや重量感を感じさせないハンドリング” を実現 -
左右輪間の制動力・駆動力差から生じるヨーモーメントを制御し、滑りやすい路面やコーナーリングなどにおいて、操縦性や安定性を高める機能です。
三菱自動車では、過去、AYCデファレンシャル (図10) を採用し、左右輪間のトルクを移動させることで、車両の加速や減速に影響を及ぼすことなく、ヨーモーメントを発生させ飛躍的な操縦性向上を可能にしました。
一方で、重量の増加と共にレイアウトに制約を受けるデメリットもあります。
そこで、ECLIPSE CROSS PHEV では、重量増やレイアウト変更を必要としないブレーキAYC (図11) を採用しました。
なお、ブレーキAYCは作動時に減速感を伴い、操縦性の向上とフィーリング悪化の低減とは相反するため、これらを同時に成立させる制御が必要となります。
ブレーキAYCの制御目標値は、車両諸元、車体速度、操舵角から求められる規範ヨーレイトによって算出し、実ヨーレイトとの差分に応じて発生させるヨーモーメント量を決めています(図12)。
制御適合において主となるパラメータは、差分から制御量を求める制御ゲインと、差分に応じた制御作動タイミングを決める不感帯の2つとなります。効果を高めるため、制御ゲインを大きくし過ぎると作動音や減速感、またブレーキ操作時の板踏み感等のフィーリング悪化を招きます(図13 線①)。また、制御応答を高めるため、不感帯を小さくし過ぎると、不要な場面での制御作動を引き起こします(図13 線②)。
そこで、ECLIPSE CROSS PHEVに採用したブレーキAYCでは、様々な路面状況・天候を踏まえ制御ゲインの最適化を図りました。
最適化した制御パラメータを適用したことによって、ドライバーが曲がりにくいと感じる前からヨーレイト差分を検出し、小さなブレーキ力を少しずつ付与します。これにより違和感を感じることなく旋回時の車両挙動を安定させ、ドライバーの安心感も高めることが可能となりました。
特徴[Ⅲ]
– 路面や天候に左右されない走りを実現 -
一般的な4WDは、滑りやすい路面でのスリップを低減し、走破性を向上させる機能であると考えられています。
一方、三菱自動車は、4WDを四輪のタイヤ能力をバランスよく最大限に発揮させるAWC技術の中心機能であると捉え、走破性のみならず安定性と操縦性も向上させることに用いて、意のままの走りを実現しています。この考え方に基づき、それぞれの路面状態に適した走破性・安定性・操縦性を発揮するように各ドライブモードを設定しました。
ECLIPSE CROSS PHEVでは、路面状態や走行状況に適合するドライブモードを設定しました (表1) 。
ECLIPSE CROSS PHEVでは、各モードが狙う路面特性に適した車両運動性能を発揮できるように、4輪の制駆動力を制御するTwin motor 4WDとブレーキAYCの特性を調整しました。さらに運転のしやすさや加速フィーリングも各モードに適した特性とするため、アクセル操作に応じてモーターの出力トルクを決めるアクセルゲインも調整しました (表2) 。
エクリプス クロスPHEV
「高速道路での追突回避」篇
エクリプス クロスPHEV
「高速道路ジャンクション」篇
エクリプス クロスPHEV
「同乗者の体の揺れ」篇
エクリプス クロスPHEV
「日常走行直線」篇
エクリプス クロスPHEV
「日常走行定速」篇
新型エクリプス クロス
「【1戦目 つるつる坂道対決】
ランエボ vs PHEV
雪のガチンコ3番勝負!」篇
新型エクリプス クロス
「【2戦目 くねくね雪道対決】
ランエボ vs PHEV
雪のガチンコ3番勝負!」篇
新型エクリプス クロス
「【3戦目 ぐるぐる雪上対決】
ランエボ vs PHEV
雪のガチンコ3番勝負!」