特別編 ジル・パニッツィ ロングインタビュー第2弾 その2
Q: 鳥居勲氏がMMSP社長に就任していますが、新社長との関係はどうでしょう?

12月7日に行われた05年モータースポーツ発表会に出席。MMSP新社長の鳥居氏(右)、パリダカドライバーの増岡選手(中央)とともに05年の躍進を誓った |
A:
社長交代という大きな改革を実行した場合、必ずしもチームのプラスにはならない、というのが私の持論なので、スヴェン・クアントがチームを離れると聞いた時は、あまり嬉しくは思いませんでした。完璧な人間など存在しませんが、スヴェンはMMSP社長として素晴らしい仕事をしてくれたと思います。いい意味で一歩退いたかたちで現場に出ていましたし、スタッフの意見にも耳を傾けて、何かやるとなったら行動に移すのも早かったですよ。
とはいうものの、鳥居さんに会ってすぐ、自分の心配は単なる杞憂に過ぎないと確信しました。鳥居さんはまだ若いですし、ダイナミックです。物事を学び取ろうという積極性も素晴らしいです。モータースポーツの経験が少ないことから、当初は苦労するかもしれませんが、実際に彼と話をしてみて、早晩経験不足の問題は解決するだろうと思えるようになりました。ただし、やる気が空回りしてチームのスタンスをガラリと変えるようなことだけはして欲しくない、現在の方向性を維持して欲しい、とは思っています。チーム体制も素晴らしく、優秀なエンジニアが揃っていて、環境も整っているのですから、現在の状況をフルに活用する方が早くゴールに到達できると思っています。
何かにたとえるのなら、凝った料理を作るときと似ているのかもしれません。最初は「これでうまく行くのだろうか」と不安になることもあるでしょうが、ひとつひとつ努力を積み重ねることによって、究極のひと皿が完成するのです。料理とラリーには、忍耐が大切、という共通点があるような気がします。マリオ・フォルナリスには全幅の信頼を置いています。テクニカル面のことは、すべて彼が判断できるような体制が理想ですね。鳥居さんがチーム全体の運営面を統括し、フォルナリスと力を合わせて前進する気持ちになっていれば、常に正しい道を選択してくれると信じています。
Q: 貴島常務ともお会いになったようですが、どんな話をしたのですか?
A:
貴島さんをはじめ、大勢のスタッフと会えたことが、今回の来日の大きな収穫です。直接顔を見て言葉を交わすというのは、コミュニケーションの点でも非常に重要です。私は単なる雇われドライバーとは思われたくありません。一緒に仕事をするパートナーならば、もっと自分を知ってもらいたい、そういう感情が働きます。チームというのは、家族も同然ですからね。関係者全員がお互いをよく知る間柄になれれば、自然と意思の統一も図れるでしょう。自分の使命を全うすることでチームに貢献したい、そう考えています。三菱自動車と3年契約を交わした際、ゼロからスタートして、再び優勝できるチームに成長させること、という目標はハッキリと見えていました。目標達成まで、私は100パーセントのコミットメントを示すつもりです。たとえウィナーが私でなくても構いません。実際、プジョーでも同じ役目を果たしていますからね。206WRCの開発プログラムに関与し、チームの成功に大いに貢献したという自負があります。私がタイトルを獲ることはありませんでしたが、プジョーは3度のワールドチャンピオンに輝いています。三菱自動車がラリーで勝ち、再びタイトルを獲得できれば、自分の仕事を誇りに思えるでしょう。
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