Event SchedulePoint StandingsTeam & DriversLancer WRC04

Team & Drivers
 『ランサーWRC04』は、30年以上にわたる三菱自動車のラリー活動で培った実戦経験と最新技術を組み合わせ、FIA世界ラリー選手権出場を目的としたワールドラリーカー車両公認規定に基づき開発された。

 三菱自動車は『ランサーWRC04』で2004年1月に開催される「モンテカルロラリー」から世界ラリー選手権へ2年ぶりに復帰し、9月に日本で初めて開催されるWRC「日本ラリー」を含む2004年シーズンの全16戦に参戦する。

 ワールドラリーカーは、年間2万5千台以上生産された車両をベースとすることが規定されていることから、『ランサーWRC04』は、2002年まで参戦していた『ランサーエボリューションWRC2』同様、三菱自動車のコンパクトセダン『ランサー』をベースとしている。しかし機能美を想像させる外観が示す通り、全くの新しいワールドラリーカーである。
 もちろん三菱自動車がこれまで世界のラリーで培ったノウハウと、日本と欧州各拠点の機能を最大限に活用して開発されたが、斬新なデザイン戦略は主に、英国のラグビーにある三菱自動車のWRC開発拠点MMSP LTDのテクニカルディレクター、マリオ・フォルナリスが率いる若いエンジニアチームによって推進された。フォルナリスは2004年シーズンを翌年以降の飛躍に向けたクルマづくりと、ドライバー体制の確立に向けた準備期間と位置付けている。
 “『ランサーWRC04』は、あらゆるコンディションのラリーで勝てるポテンシャルを確保するために6,000点に及ぶ新たな部品を開発・採用した。しかし開発の基本理念は、最先端のシステムや技術を導入すること以上に、『ランサー』の特性をよく理解し、その特性を最大限に活用することに重点を置いた。” とフォルナリスは語った。
ドライバー
エアロダイナミクス
 『ランサーWRC04』は、高速化が予想される世界ラリー選手権に適応させるため、エアロダイナミクスの重要性を反映している。前後エアロパーツやボンネットの形状に加え、車体下面の空気流動性についても細心の注意を払い、ダウンフォースの効果を最大限に得られるよう配慮した。またエンジン性能を最大限に発揮させるため、エンジンルームへの空気の取り入れ並びに排出についても慎重な検討を実施し、摂氏30度を越える地域で開催されるラリーや、平均時速の低いラリーにも対応する十分な冷却性能を確保した。

サスペンション&シャシー
 サスペンションは前後・左右共通部品で成立させることをコンセプトに開発したマクファーソンストラット式サスペンションを採用した。単にハンドリングの良さのみを追求するのではなく、パーツの素材にスチールを用いるなど、耐久性はもちろんのこと、シンプルな機構による整備性の向上にも対応した。ダンパーは、従来同様『ランサーWRC04』専用に開発されたオーリンズ製である。 シャシーは、前後の重量配分を理想に近くづけるため、クロスメンバーとステアリングラックの一部取り付け面を改良し、エンジンを20度ほど後方に傾斜させて搭載した。

エンジン&トランスミッション
 2.0L DOHC 16バルブのエンジンは、『ランサーエボリュ-ションVIII』はもちろんのこと、『グランディス』や『エアトレック』などで使われる4G6シリーズをベースとしている。
従来の『ランサーエボリューションWRC2』のエンジンに対し、ボア×ストロークはそのままだが、ターボチャージャーや、吸排気系のマニフォールドなどを大幅に変更した。またクランクシャフト、コンロッドやピストンの軽量化を更に進め、レスポンスの向上を図っている。電子制御システムはマグネッティ・マレリ製に変更し、シャシー系の制御ユニットと統合制御することで、信頼性を確保しながら軽量化を図った。
 トランスミッションは『ランサーエボリューションWRC2』で使っていたものから、リカルド製の5速マニュアルトランスミッションに変更した。3つ全てのディファレンシャルはパッシブタイプで、プラネットセンターディファレンシャルによりトルクは前後に配分される。また、フロントとリヤのディファレンシャルは機械式LSDを採用した。
 “世界ラリー選手権の技術規定により、エンジンはリストリクター(吸気制限装置)の装着が義務付けられている。それに対応して開発を進めた結果、『ランサーWRC04』のエンジンはパワー曲線とトルク曲線が5速トランスミッションでの対応に適したものとなった。5速で充分な時に6速トランスミッションにする必要があるのか?など我々はクルマを開発する際、さまざまな可能性を分析し、最適なものを選んだ”とフォルナリスは語った。
 パッシブデフの採用は異例であるが、他車を凌駕するアクティブデフの実現には、パッシブデフでさまざまな条件下の走行を重ね、十分なデータを蓄積することが必要であり、基礎となるシャシーをより万全で効果的なものにするという決定に基づいている。また、トランスミッションのセミオートマチック機構は、『ランサーWRC04』の基本性能と耐久性を確信でき次第、搭載する予定であり、2004年シーズン後半には実戦投入される可能性がある。

ブレーキ
 ブレーキはブレンボ製を採用するが、軽量化と、重量配分並びに制動時の荷重移動を見直した結果、ウォータークーリングを必要としないシンプルで信頼性の高いものとなった。

まとめ
 『ランサーWRC04』は10月中旬からテストを開始され、ジル・パニッツィを筆頭とする新しいドライバー体制で2004年1月の「モンテカルロラリー」に臨む。しかしフォルナリスは、実戦出場も重要な開発の場であると考えている。新しい三菱のワールドラリーカーは、2004年シーズン最初の3ヶ月間に、舗装路(ターマック)と氷結路(アイス)のモンテカルロ、雪のスウェーデン、埃と未舗装路(グラベル)のメキシコ、と3種類の異なった走行条件に挑戦する。

 “我々は、最初から多くのことを期待してはいない。現段階で戦闘力を論議すべきではない。『ランサーWRC04』は新しいクルマであり、仕様検討、テストともに時間が限られていた。もちろんテストを通じて多くの改良を行ってきたが、ラリーでは予想外のトラブルも発生するだろう。
 しかし我々のシンプルにまとめるという開発思想で乗り切っていくつもりだ。もちろん我々には学ぶべきことがまだ多く残されている。最初の数戦では、まずは従来車より速いことを確認したい。そして複雑な機構を始めから採用せず、段階を踏んで車両を改良していく。
 段階を踏んでのエンジニアリングが、2004年シーズン後半の高い競争力の確保と、勝利に向けた最短の方法であると確信している。強豪チームがしのぎを削る厳しいWRCの環境の中で戦うには整備性などを含めた総合性能の玉成が何よりも重要だ”とフォルナリスは語った。
ドライバー
全長 4360mm
全幅 1770mm
ホイールベース 2600mm
トレッド(前/後) 1500mm
車両重量 1230kg
エンジン 4G63 DOHC16バルブ インタークーラーターボ 吸気制限装置(リストリクター)
ボア×ストローク 85.5×86.9mm (86.98mm)
総排気量 1.996 L
最大出力 300 PS / 5500rpm
最大トルク 55kg-m/3500rpm
エンジン制御装置 マグネッティ・マレリ製マルチインジェクション
タンク容量 90 L
主変速機形式 リカルド製 5速マニュアルトランスミッション
クラッチ カーボン トリプルプレート
駆動方式 フルタイム4WD 
デフ フロントLSD、センターLSD、リヤLSD
サスペンション形式 マクファーソンストラット式コイルスプリング
(アンチロールバー付)
ショックアブソーバー オーリン製 各輪2個装備
ステアリング形式 ラック&ピニオン(パワーステアリング)
ブレーキ形式 ベンチレーテッドディスク(ブレンボ製キャリパー&ローター) ローター(ターマック:370mm、グラベル:300mm、スノー:328mm) キャリパー(ターマック:8Pot、グラベル&スノー:4Pot)
ホイール (ホイールサイズ) エンケイ製マグネシウムホイール (ターマック:8×18、グラベル:7×15、スノー:5×16)
タイヤ ミシュラン製
その他特長 レカロ製シート、サベルト製シートベルト、スティロ製ヘルメット&インターコム