2003年FIAクロスカントリーラリー・ワールドカップ第1戦
「三菱ディーラーチーム」ワンツーフィニッシュ!
増岡浩(三菱パジェロエボリューション)逆転優勝を飾る!
5人の三菱ディーラーメカニックも勝利に貢献
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2003年FIAクロスカントリーラリー・ワールドカップシリーズ第1戦のイタリアン・バハ2003は16日(日)トリエステにゴール。全国の三菱自動車販売会社の強力な支援で、「三菱ディーラーチーム」として参戦した増岡浩(三菱パジェロエボリューション)が、最終のSS5でステアリングトラブルを起こしたペテランセルを逆転。2日間のSS合計615キロを6時間29分46秒で走り、このラリー初参加にして初優勝。2位は2分52秒差でステファン・ペテランセル、3位はカルロス・スーザ(ポルトガル、三菱ストラーダ)で、三菱車がトップ3を独占した。4位にはフォルクスワーゲン・ターレックのステファン・アンラール(フランス)。
増岡は15日(土)第1レグのミスコースで遅れたが、常に射程範囲にペテランセルを置き、車をいたわりながら忍耐強く追走。ペテランセルのトラブルを誘う03年ダカールラリー(パリダカ)を再現したような鮮やかな逆転勝利だった。11回を数えるイタリアン・バハで、三菱車の勝利は01年と99年に次いで3度目。 |
増岡浩、04年パリダカに向けて好発進
約2キロを超す長いストレートと緩やかな高速コーナーを、ペテランセルと増岡は猛然と突っ走った。最終SSの残り20キロ地点で2人の差は、増岡が約20秒ほど詰めていた。しかし、依然として総合では4分を上回る開きで、ペテランセルの勝利はほぼ決まった感じだった。
ペテランセルが来た。次いで増岡。拳大の石をバラバラと砲弾のように後ろに飛ばしながら高速コーナーを軽いドリフトで抜けていく。さりげない走りだが速度はギャプの激しい路面で150キロにもなろうか。車の姿はたちまちホコリの渦に消える。パリダカで競い合った2人は、2カ月後にもやはり、逃れられないライバルだった。
第2レグの最初、SS4で増岡はペテランセルを5秒引き離すトップタイムを出して「フルアタックで行くぞ」の意思表示。パリダカの終了2日前のスタートで、エンジンを空吹かしし、一気にダッシュして“勝つ意欲”をペテランセルに示したのと同じパターンだった。総合では4分32秒遅れていたが、このタイム差は2人が普通に走ったなら、埋まりようもない。同じような力。ミスやトラブルを招いた方が負けなのだ。
ほとんど変わらない2人の速度だから、増岡車が第1レグのSS1で冒したミスコースのツケはそのままタイム差となっていた。残り20キロ地点に立っていて、ペテランセルの勝利は確実と思われた。 |
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三菱パジェロエボリューション
三菱ディーラーチーム
S・ペテランセル/J-P・コトレ
(写真:03.3.16 第2レグ)
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ところが、SSのゴール地点で最初にチェッカーを受けたのは、206号車。遠くから砂埃の尾を引いて走ってくる増岡車を見て、主催者の場内放送も「ペテランセルがゴールへ向かって来た」と間違うほどだった。しかし、チェッカーを受けたのは紛れもなく206号車で増岡が運転していた。201号車のペテランセルが来ない!パリダカでもゴール1日前にペテランセルはトラブルで遅れ、増岡に逆転された。そんな記憶が蘇った時、ペテランセルの車が、ノロノロと姿を見せた。チーム関係者は騒然。ペテランセルがチェッカーを受ける前に、増岡の勝利が確定していた。
ライバルのトラブルを誘って勝利を引き寄せる“ヒロシ・マジック”が再現された。「どこまで車を走らせるかが、こういうラリーでは重要です。壊さずにキチンとゴールして、いい結果が生まれます。昨日も今日も、まだ私自身には余裕がありました。しかし、もっと速く走ると今度は車にダメージが来ます。ミスコースからペテランセルに先行されましたが、2台はほとんど同じ速度です。我慢の走りが生きました」と増岡はパリダカと同じようなコメントだった。
まさかのトラブル。ペテランセルはやっとチェッカーを受けた後、目を潤ませていた。今年2度も増岡に逆転負け。それも勝利をほぼ確実にしていてだからつらい。「残りは8キロくらいだった。突然ステアリングが利かなくなった。ハンドルを2回転させると少し曲がったり、鋭く切れたり…。とても速度を上げられる状態ではなかった。どうしてこんなことになるのか…」。ステアリングのギア近辺に異常が起こったようだった。ハンドルが利かなければ走れない。速さでは互角の増岡と同じ三菱パジェロエボリューションで2度対決。2度とも敗れた無念さをにじませていた。
「今回は勝てないと思っていましたが、あくまで車をいたわり、巡ってくるかもしれないチャンスを狙っていました。04年パリダカに向けて、いいスタートが切れました」と増岡。ヴィヴァロから125キロのリエゾンで、アドリア海の北端にあるトリエステまで移動。港を背景にした美しい街の広場で、増岡はペテランセル、スーザにシャンペンを浴びせられた。 |
自分たちが整備した車が優勝!三菱ディーラーメカニックも勝利に歓喜
三菱ディーラーメカニック5人は、増岡の勝利、ペテランセルの2位で、大喜びの勝利を迎えた。全国の三菱自動車販売会社から選出された三菱ディーラーメカニック5人は「三菱ディーラーチーム」の増岡、ペテランセルの車両整備をフランスの“ラリー・プロ”のメカニックとともにサポートした。
ドライバー2人は猛烈に競り合い、最後には増岡の勝利となった。SS5終了後にはラリーの行われたヴィヴァロから、イタリア北東部、アドリア海最奥のトリエステまで約125キロを移動。表彰式が行われたが、ポディウムの後のシャンペンシャワーを、5人は大声を挙げて見守った。増岡、ペテランセルから渡されたシャンペンを一口飲んで「感動です。こんな経験が出来るとは…」と、自分の優勝のように喜びを語っていた。
「レースでは何が起こるか分からないとは聞いていましたが、今日のように最後の最後で、逆転があるとは…」と山本真志さん(南大阪三菱自動車販売株式会社)。
「自分のやったことがどこまでお役に立ったか分かりませんが、いくらかでも今度のラリーに役立ったと思うと感激です」と徳永淳さん(福島三菱自動車販売株式会社)。
それぞれが感動を込めて、トリエステの夜の表彰式を味わった。
「素晴らしい体験でした。これから後に、こういう体験や感動がなかなかあるとは思えませんが、今回の喜びを将来に生かしていきたいと思っています」とは貝沼和弘さん(東京三菱自動車販売株式会社)。
「しっかりとこの経験を書き留めておきたいと思います。実際の作業で何が自分に足りないかをメモして、これからの仕事に生かして行きます」と言ったのは福山三菱自動車販売株式会社の土肥雅之さんだった。
日記とメモを盛んに取っていた南茨城三菱自動車販売株式会社の佐久安弘さんは「自分をどう表現するかが、厳しい環境の中で少しずつ分かってきました。自信を持って自分を主張することが、出来るような気がします」と語り、ディーラーメカの実戦参加の成果を思わせるコメントだった。
増岡を囲み喜びの叫び。すっかり暗くなったアドリア海にディーラーメカニックたちの喜びの声が流れていった。
ラリーという極限の闘いの中で秒を争う勝負の世界は人材を磨く場としても重要な効果を持つ。厳しいプロの現場を体験した5人のメカニックたちはそれぞれ大きく成長。帰国後は仕事への信頼性や確実性、モチベーション向上など、周囲にも良い影響を与えることが報告されている。人と技術の総合的な研鑽。ディーラーメカニック派遣の意義はそこにある。 |
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車両を整備する三菱ディーラーメカニック達
(写真:03.3.16 第2レグ)

車両を整備する三菱ディーラーメカニック
貝沼 和弘
東京三菱自動車販売株式会社
(写真:03.3.16 第2レグ)
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